【No:387】 くま一号さま作 『ミラクルジャンボダイヤモンドと都会的チョッコレート☆』 より続いております。
「さて。 いかがしましょう。 お姉さま? 」 嗚呼、いつにも増して徒ならぬオーラをオーラを茫々と燃やしているお姉さまが、その物体を鴨居からぶら下げ終わってから問い掛ける。 麗しい笑顔がいつも以上に怖い。
「そうねえ。祥子。 どうしようかしら。 折角イロイロ持って来たけれど、下手な使い方をすると、逆に喜んじゃって、お仕置きに成らないのよね。 ……加藤さんはどうしたいですか? やっぱりここは、直接被害に逢われた当事者の意見が尊重されるべきだと思いますし。 」 いつもクールで凛々しい容子さまも、今回ばかりは口元が引きつっている。
「書き込みを消すの自体は、そういう機能もあるし、手間でもないんだけれど。 ああいうのを読まされると、ゲンナリしてしまうのよね。 2度と繰り返させない為には、何が効果的なのかしら? 」 景さまが、ボストンフレームをずらして眉間を揉んでいる。 あ、実は切れ長の目元が素敵な大美人さんなんだ。
「祐巳。顔が賑やかになっていてよ。 意見があるならはっきり言いなさい 」 うわん。やっぱりピリピリしてる。 お姉さま、潔癖症だから。
「ええと。 ここは妹である志摩子さんの意見を聞いてみるべきかと… 」
「それもそうね。 志摩子。 あなたはどうしたいの? 」
「…… 乃梨子 」 景さまのお宅に着いてから、ずっと黙って微笑んでいたのに。 やっぱり怒ってる?
「イエス、マム。 」 えと、敬礼してる。 けど?
「やりなさい。 気絶させない程度に。 」 あのう。
「イエス、サー。 」 乃梨子ちゃんが、へん?
「…申し訳ありませんが、先代さま。 お姉さまのお言葉ですので 」 いつもポーカフェイスな乃梨子ちゃんが、一瞬だけ哀れみの視線を芋虫に向けると、おもむろにプリーツの隠しから長い数珠を取り出した。
「オン! 」 ビリリ。 何かが空気を引っ張ったような変な感じがした。
猿轡を噛まされた芋虫聖さまが、突然激しく身悶え始める。
「では、みなさま。 取り敢えずお茶にいたしましょう。 」
「志摩子? 」
「今、お姉さまの頭の中では、いろいろなお話が聞こえているはずです。 乃梨子の霊力で、憑けました。 効果については、ケテル・ウィスパーさまのお墨付きの確かさです。 意識をそらす事も出来ません。 気絶する事も出来ません。 まずは、第一段階ということで。如何でしょうか? 以降は、お茶を飲みながら相談すると言う事で。 」
「あ、じゃあ。 コーヒで良いかな? 」 景さまが台所へ下がるのを追いかけた。 ここに居るほうが怖いよう。
「お、お手伝いします。 景さま。 」
「有難う。 福沢さん。 」
「祐巳で良いですよ。 景さま。 」
「じゃあ、皆と同じように 祐巳ちゃんって呼ばせてもらうわ。 」
・・・・・・・
まずい。 リリアンの良心。 祐巳ちゃんが場を外すとは。
何だかんだ言って、最後には甘い お景さんまで居なくなるし。
残ったのは、容子、志摩子、祥子、乃梨子 ……。
乃梨子にはついこの間、楽しくセクハラしちゃったばっかりだし。
他の面子は、言わずもがな。
も、もう駄目かもしんない。
頭の中では、誰かのささやき声が延々と聞こえるし。
わたし、本当に死んじゃうかも。 これからどうなるの?
『それは、とてもとても気持ちがいいことなのですわ 』
『ふ、えすえむってことさ 』 うわー。ビキニパンツでポージング決めてるギンナン王子が見える。
しぬ、しんじゃうーー。
・・・・・・・・
間もなく、18禁がやってくる。 らしいです。
でも、良い子の祐巳には、良く解りません。
「お、教えてあげましょうか、祐巳? 」 はあはあ。
お姉さま、眼が怖いです。