「志摩子さんって、おっぱいおっきいなぁ」
「「「ブフッッ!」」」
ポツリと言うと、その場に居た三人が同時に紅茶を噴いた。
「ゆ、祐巳さんいきなりなんて事言うのよっ」
「え? 良いなぁって思って……」
口も拭かずに詰め寄ってくる由乃さんに、こう答えつつ周りを見ると。
乃梨子ちゃんは紅茶と一緒に他のモノも噴いちゃってて、始末に追われている。
志摩子さんは口元にハンカチを当てて、ゴホゴホと咳込んでる。 気管に入ったみたい。 志摩子さんは紅茶を噴くのに慣れていないから。
悪い事をしたようだ。
「まあ、確かに志摩子さんって大きいわよね、おっぱい」
場がやっと落ち着いた頃、由乃さんがさっきの話に喰いついた。
「よ、由乃さままで何を…… た、確かに大きいですが…… おっぱい」
真っ赤になった乃梨子ちゃんが、あわてて由乃さんを鼻声でたしなめる。
「そうだよね。 やっぱり志摩子さんっておっきいよね、おっぱい」
わが意を得たり、と祐巳も言葉を続けて。
「なんか秘訣でもあるの?」
と、三人で、じーっと見つめる。 志摩子さんのおっぱいを。
指先まで真っ赤になっちゃった志摩子さんは、あわてて胸元を両手でかばって。
「な、ないしょ……」
消え入るような声でこれだけ言うと、館の外へ逃げていった。
その様子に、乃梨子ちゃんはまた噴いた。
「内緒、だって」
「あわてて答えただけじゃないでしょうか」
「でも、本当に何かあるのかも知れないわよ?」
ふぅむ、と三人で考えてみる。 三人とも、出来るならあやかりたいから。
「なにかしてるのかな……」
「運動とか?」
「そんな感じではないですが……」
「うーん、なにか志摩子さんならではの……」
さらに考え込む。
(えーと、志摩子さん志摩子さん。志摩子さんの日常。志摩子さんがやってる事。志摩子さんが好きな物……好きな物?)
「「「あっ!」」」
三人同時に顔をあげた。
秋の日の並木道。
競うように何かを拾う人影がよっつ、連日のように見られた。