【391】 それは秘密ですおっぱいの種  (水 2005-08-19 05:01:12)


「志摩子さんって、おっぱいおっきいなぁ」
「「「ブフッッ!」」」
 ポツリと言うと、その場に居た三人が同時に紅茶を噴いた。
「ゆ、祐巳さんいきなりなんて事言うのよっ」
「え? 良いなぁって思って……」
 口も拭かずに詰め寄ってくる由乃さんに、こう答えつつ周りを見ると。
 乃梨子ちゃんは紅茶と一緒に他のモノも噴いちゃってて、始末に追われている。
 志摩子さんは口元にハンカチを当てて、ゴホゴホと咳込んでる。 気管に入ったみたい。 志摩子さんは紅茶を噴くのに慣れていないから。

 悪い事をしたようだ。


「まあ、確かに志摩子さんって大きいわよね、おっぱい」
 場がやっと落ち着いた頃、由乃さんがさっきの話に喰いついた。
「よ、由乃さままで何を…… た、確かに大きいですが…… おっぱい」
 真っ赤になった乃梨子ちゃんが、あわてて由乃さんを鼻声でたしなめる。
「そうだよね。 やっぱり志摩子さんっておっきいよね、おっぱい」
 わが意を得たり、と祐巳も言葉を続けて。
「なんか秘訣でもあるの?」
 と、三人で、じーっと見つめる。 志摩子さんのおっぱいを。
 指先まで真っ赤になっちゃった志摩子さんは、あわてて胸元を両手でかばって。
「な、ないしょ……」
 消え入るような声でこれだけ言うと、館の外へ逃げていった。

 その様子に、乃梨子ちゃんはまた噴いた。


「内緒、だって」
「あわてて答えただけじゃないでしょうか」
「でも、本当に何かあるのかも知れないわよ?」
 ふぅむ、と三人で考えてみる。 三人とも、出来るならあやかりたいから。
「なにかしてるのかな……」
「運動とか?」
「そんな感じではないですが……」
「うーん、なにか志摩子さんならではの……」
 さらに考え込む。
(えーと、志摩子さん志摩子さん。志摩子さんの日常。志摩子さんがやってる事。志摩子さんが好きな物……好きな物?)
「「「あっ!」」」

 三人同時に顔をあげた。



 秋の日の並木道。
 競うように何かを拾う人影がよっつ、連日のように見られた。


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