「由乃さま、教えていただきことがありまして」
「ん?」
「佐藤聖さまって一体どういう方なのでしょう」
「なんでわたしに?」
「一番容赦ない説明をいただけると思ったのですが」
「なるほど。まあ、一言で言うと中村主水よ」
「渋い例えですね」
「乃梨子ちゃんには通じると思ったわ。仏像好きだし」
「仏像は関係ないと思いますけど」
「普段はダメ人間で、ピンチに活躍する典型的なヒーローね。去年から紅薔薇姉妹がピンチの連続だから出番も多かったけど、円満な黄薔薇白薔薇とはご縁がなかったわね」
「当時の紅薔薇さまと協力されたんですね」
「いや、そういえば蓉子さまって何してたんだろう」
「そうですか」
「だからわたし達の代だと祐巳さんタイプよね。優等生の蓉子さまが志摩子さん…で……」
「何か?」
「なし…」
「え?」
「今の全部なし。認めないから、絶対ー」
「ええー?」
廊下にて、
「やっぱり、白は平穏すぎたのですね。お姉さま…」