祐巳たちが薔薇さまとなった今年の文化祭。
どうやら劇をやらないで、別の展示になったらしい。
詳しいことを教えてもらえなかったので、早速、見に行ってみることにした。
展示場は、どうやら薔薇の館らしい。
薔薇の館に行ってみると、人はほとんどいなかった。
そんなに面白くないのだろうか。
首をかしげながら、館に近づいていくと、入り口に机が並べてあり、
そこには小学1年生から6年生までの漢字ドリルと計算ドリルが展示してあった。
参考書の展示なのかな? それなら、この人の少なさも納得できる。
つまらない企画考えたなあ、と思いながら、中に入る。
1階は家庭用ゲーム機がおいてあり、ディグダグやミスタードリラー、ぐるみんが遊べるようになっていた。
ここにはさすがにゲームの好きな子供たちが列をなして順番を待っている。
小学生の夏休みがテーマか? と首をかしげつつ、階段を上る。
階段横にも展示がされていた。それはどうやらロボットもののプラモデルのようだ。
真ゲッター2や、マシンロボレスキューのイエローギアーズなど、ずいぶんと渋いチョイスのロボットたちが鎮座している。
しかし、女子校の展示とは思えない展示だなあと思いながら二階に上がりビスケット扉を開けた。
そこには、祐巳と瞳子さんがいた。
俺は祐巳の横に座っている瞳子さんを見て首をかしげた。どうやら瞳子さんは、展示物の一つのようだ。
「あ、祐麒 いらっしゃい。どうだった、面白かったでしょ? 瞳子ちゃんは今回の展示の目玉なんだよ」
「そうなのか?」
そういって俺は、瞳子さんをじっくりと見つめた。
普通女性をじっくり見つめるのは良くないと思うが、今回彼女は展示物のはずだから、怒られないだろう。
今までの展示と彼女の共通点を見つけるためにかなり長い間俺は瞳子さんを見つめた。
しかし、今までの展示と祐巳の横に座っている瞳子さんの共通する部分が俺には見つけることができなかった。
「なあ、祐巳。今年の山百合会の展示はいったいなんだ?」
「え? わからない? 今回の山百合会の発表は、ドリル万博。あえて工具じゃないドリルを集めてみたの」
そううれしそうに言った祐巳の横で瞳子さんは滂沱の涙を流していた。