【410】 守銭奴令さま極上チーズ  (西武 2005-08-23 21:34:41)


「だめよ、由乃」
「今月だけだって」
「お小遣いの前借りは禁止でしょ。わたしが貸してあげたら意味ないじゃない」
「禁止だからお願いしてるんじゃない。令ちゃんの石頭」
「ふう。いったい何に使うのよ」
言えたら苦労しないわよ。というか、本当にわからないの?
「高校生なんだから、必要なお金は用意しておかなきゃ」
してたわよ。
「すぐにお年玉なんだから、我慢できるでしょ」
だから、今月いるんだってば。
「もういいわよ、けち」

出てきてしまったものの、どうしよう。
祐巳さんと志摩子さんに頭を下げようかとも思うけど、二人だってこの時期お金はいくらあっても足りないはずなのだ。祐巳さんは祥子さま相手に引け目を感じたくないだろうし、志摩子さんもお姉さまとしていろいろ計画していることだろう。
「令ちゃんもわたし相手に計画立ててるんだろうし、やっぱり無茶だったかな」
そうつぶやいたとき、何かいいにおいがただよってきた。
「由乃、おなかすいたでしょ。今日のは自信作よ。チーズがなかなか手に入らないやつで…」
ぶちっ。
「ばかーーーーー」
こっちは、プレゼントの送り先をいきなり1人増やされたってのにー。


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