「祐巳さん、今度のは何の作戦?」
「うん、題して『最近ちょっとスイーツを食べ過ぎてほんのちょっと太ったみたいだから食べ過ぎを防止するガーディアンを大募集する大作戦』」
「この上なく分かりやすい作戦ね。じゃ、これからお茶のときのお菓子を…」
「令ちゃんはだまってて。祐巳さん、ダイエットなんて必要ないわよ。まだ成長期なんだから」
「そうね、無理はいけないわ。また倒れたら大変よ」
「そうそう、ストレッチマラソンってすごくお腹すくんだし。毎日のおやつがなくなったら」
「由乃さん、それ本音…」
「う、じゃ祐巳さんも何か運動はじめるとか…」
「いいえ、だめよ」
「お姉さま」
「太ってないあなたなんて、あなたじゃないわ」
「え…」
「この顔、お腹、背中に(中略)、この弾力すべてが祐巳じゃないの」
「ああ、お姉さまも以前、『本来一ヶ所にあるべき脂肪がまんべんなく配置された奇跡の肉体』と褒めていらしたわ」
「そうよ。そのためにこっそりお茶の時間を増やしてるのよ。もうこんなことはいわないで、祐巳」
「お、お姉さま…」
こうして、SG大作戦の舞台は家庭に移されることになったのだが、一家全員が音を上げるまでたいして時間はかからなかったという。