【529】 白薔薇さまは長編  (マリみて放浪者 2005-09-12 03:32:09)


「祐麒さん!」振り替えると君がいた。


君を初めて見たのは一年の時の文化祭だった。舞台上の君は誰よりも輝いて見えた。それからは心のどこかにいつも君はいた。そして二年の夏休み。俺は君に逢えた。今まで心のどこかにあった君への思いが急速に膨らんでいくのを自覚した。そしてそんなある日のことだった。偶然にも君と出くわした。M駅近くの喫茶店だった。抑えきれない君への思いが顔に出ないか心配だったがそこは平気だった。君との会話は心底楽しかった。時間が経つのも忘れて君との時間を過ごせたことにこの時ばかりは御仏に感謝した。夕暮れになり、帰ると言い出した君を思い止まらせて駅近くの公園に連れ出して思い切って告白した。君は突然泣いた。俺は狼狽した。理由が解らなかった。そして君は言った。「好きです」と。それからの俺たちは…



「志摩子さん、何を書いてるの?」
「これ?私と祐麒さんの愛の軌跡よ。それを祐麒さん視点から書いてるの。」
「ふ〜ん…えっ!」
「どうしたの?祐巳さん。」
「どうしたもこうしたもないよ。何時の間に祐麒と…」
「それは秘密よ。お義姉さん。」
「そうなんだ。ってまた問題発言があったような…」
「気にしちゃいけないわ。もう遅いし帰りましょ。」
「まあいいか。」



これは祐麒にも秘密のこと。何れにしろ祐麒と志摩子がラブラブだったのは間違いない!


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