この日の薔薇の館の放課後は普段と少し違った。


「もうっ、もうっ、瞳子耐えられませんわっ！　ドリルドリルと皆さんお揃いでバカにして！　もう瞳子この髪型やめますわっ！」
「えっ！？　と、瞳子、ちょっと待って――」
「ふんっ！　それではお先に失礼いたしますっ！　ごきげんようっっ！」
　ガチャッ、バタン！　ダダダダ……。

「……怒っちゃったね……」
「……そうですね。明日、私から謝っておきますね……」
「いいえ、皆で謝りましょう。私たち全員、悪ふざけが過ぎたのだから」
「うん、そうだね」



　翌朝には瞳子の髪形は早速変わっていて。
　乃梨子をはじめとして薔薇の館の皆で平謝りして、その次の日には瞳子も元の髪型の縦ロールに戻したけれど。

　その日のうちに瞳子に付いたあだ名『大王（おおきみ）』は、なかなか消えなかった。