薔薇の館は割と退屈だ。
聖がアンニュイな気分に浸りながら渋茶を啜っていると、蓉子が話を振ってきた。
「ねえ聖。永久機関って本当に存在し得ないのかしら……」
「ん〜? 無いんじゃないの?」
「でも、ほらあれを見て」
「どれどれ……」
蓉子が指し示す先。
そこでは黄薔薇三姉妹がいつものように戯れていて、いつものような遣り取りが。
……ちょっかい→へたれ→ムキー!→ちょっかい→へたれ→ムキー!→ちょっかい→へたれ……
三姉妹による見事なサイクルが成り立っていた。
「ね? 永久機関だわ」
「どっちかと言や、内燃機関のサイクルっぽいんじゃないの?」
「でも、外部からのエネルギー入力はないのよ?」
「ん〜、みんな飯食ってるじゃん」
薔薇の館は割と退屈する暇が無い。