【549】 驚天・動・地反則技  (ケテル・ウィスパー 2005-09-14 20:45:44)


 なんかまた思いついてしまって、タイトルの方を合わせるという反則をしてしまいました。
 No.509ケテル→ No.513のデブルさま。 

「囲まれちゃいましたね・・・・・・」

 周りは死霊使いの乃梨子によって召喚されたダークスペクターやゾンビ、ゴーストなどがうようよしていた。 由乃と菜々は完全に孤立していた。 目的のアイテムはすぐそこなのに。

「ごめんね菜々・・・・・私のせいでこんなことになって・・・・・あの世でまた誤るわ」
「ふふふ、それ聞いてみたいですけど。 由乃さま、まだ諦めていないんでしょ?」
「ふふふ、分かる? あがいてあがいて、あがきまくってやるわ! 髪の毛一本になってもアイテムを持ち帰ってやるわ!!」
「・・・・・御伴します」

「ほんとうに諦めが悪いですね由乃さまは。 どうやってこの数の包囲を突破するつもりですか? アイテムは渡しませんよ。 祐巳さまの覚醒に必要な物だそうですね、志摩子さんと対等に渡り合える祐巳さまの覚醒に。 そんな物渡せるわけ無いじゃないですか。 さあ、幕引きと行きましょう」

 乃梨子が呪文を唱えると死霊達が動き出した。 動きはそれほど早くは無いのだがその数が問題なのだ一度に襲って来られたらひとたまりも無い。

「先鋒は私が行きます。 由乃さま、援護をお願いします」
「私の先に行こうって言うのは気に入らないけど、菜々ならいいわ」

 菜々は手始めとばかりに目の前のダークスペクターを叩き切った。 由乃は菜々の後ろで剣を構えつつ唯一使える高レベルの気功弾を乱射する。 しかし、レベルが高くても攻撃力が有るとも言えない由乃が放つ気功弾は、死霊達に当たってもダメージはあたえても倒すには至らない。 だが菜々にはそれで十分だった、気功弾があたっている死
霊の所まで無謀ともいえるほど接近し次々と屠って行く。

「・・・・・くっ!」
「弾切れですか? 由乃さま」
「ごめん、もう撃てない」
「それじゃあ、こうすればいいですよ」

 そういうと菜々は一旦由乃の後ろに下がる。 

「え? ちょ、ちょっと?!」
「ほら由乃さま、前のヤツ」
「え? てや〜〜っ!!」

 由乃が切りつけたゾンビのダメージを確認すると菜々は再び前に跳び出てそのゾンビに止めを刺す。
 
 しかし、体力には限界がある。 先に膝を屈したのは最初から動き回っていた菜々だった。

「菜々!!」

 由乃は菜々を庇うように前に立つ。 一体倒すのに3回剣を振るう由乃すぐに限界が来る、それでも死霊達から菜々を守ろうと対峙し続ける。 その時・・・・・。

「火炎旋風(ファイアーストローム)!!」

 入り口の方から発せられた力強い呪文によって生み出された炎の竜巻が、由乃と菜々との周りにいた死霊たちを一瞬にして焼き払っていく。

「瞳子・・・・邪魔だてする気?」
「あら乃梨子さんまだいらしたんですの?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・似合うわね、そのカッコ」
「お互いに・・・・」
「「和むな!」」
「もとい・・・・・私が手を出すまでもありませんわ! さあ、今ですわよ!!」

 入り口から再び一人踊り込んで来て、由乃と菜々の前に現れて死霊たちと対峙した後姿に由乃は見覚えがあった。

「祐麒君!」
「おまたせ由乃さん」

 後ろから抱きつきたい衝動にかられた由乃だが、グッとこらえて菜々と二人で立ち上がる。 祐麒が手ぶらであるのに気が付いた由乃は自分の剣を差し出す。

「これ、使って」
「大丈夫だよ由乃さん。 自前のを使えばいいんだから」
「自前って、祐麒君手ぶらじゃない、どこに剣を持ってるのよ?」

 ニッ、っと笑うと、右手を大きく上に突き上げる。 すると光の粒子のような物が右手に集約されていく、右手は、剣を持つように、左手は、集まる光の粒子を受け止めるように。

「まさか、祐麒さんは光の使い手?!」
「出でよ!! 我が剣! 輝きの護り手・・・・・」

 急速に集約されていく光の粒子が形を具現化させていく。 金色に輝く聖剣として。

「黄金の天使(エンジェル・オブ・ザ・ブライトライツ)!!」

 剣を構えた祐麒は再び呪文を唱えだす。 神職が使う高位の呪文が完成し武器であるはずの剣がそれを増幅する。

「浄化炎(メギド)!!」

 祐麒を中心に波状に広がる浄化魔法に死霊たちは塵と化して行った。


*  *  *  *  *  *  *  *  *  *


「…祐〜麒君〜〜〜〜(ポォ〜)」
「由乃さ〜〜ん、帰っておいで〜〜いくら祐麒が出てきたからって・・・・・」
「祐麒さんにかっこいい役が来たからと言って、即採用というのもどうなのかしら?」
「私、死霊使いですか? 志摩子さんは暗黒魔法使いだし。 白薔薇にけんか売っているとしか……」
「私は魔法使いですか、どちらかというと神職とかの方が好みなのですわ」
「いや、”ふぁいや〜・すとろ〜む”は、やっぱり瞳子じゃないと・・・・」
「どういう意味ですの乃梨子さん!!」
「予算オーバー・・・・だよ・・・ね?」
「それに、リリアンで死霊というのもどうなのかしら?」
「志摩子さんが悪役というのも気に入らない」
「私まだ出番無し?」


 採用 1(菜々) 不採用 4(祐巳、志摩子、乃梨子、瞳子)
 由乃が気が付いたのは、決が終わってからであった。

「まだ、がんばります!」



 次は、誰が続きを書いてくれるんでしょうか?


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