初めてこちらに書き込みをさせていただきます。もしよかったら読んでやってください。・・・一応ギャグのつもりです(汗
乃梨子も2年生になって2ヶ月が経とうとしたある日の昼休み、今では恒例ともなった学校放送が全校に放送された。
ぴんぽんぱんぽん〜
『待ちにまったスール交代をお知らせをするわ! いい、耳かっぽじってよく聞きなさいよ! 次のロサ・フェティダ・アン・ブゥトンはドリルよ、ドリル!』
「ぶぼっ!!・・・な、な、なんですとー!!」
その校内放送がなされた時、乃梨子の隣に座っていた指名を受けた当事者である瞳子は鼻から牛乳を指向性レーザーのように激しく噴き出し、それは狙い違わず瞳子の射線上正面にいた可南子に直撃していた。
「・・・ふふ。今年度代37代目ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン襲名おめでとう、瞳子」
そして、その瞳子の横では瞳子からの奇襲を受け被弾した可南子がちょっと引きつった笑みを浮かべつつも瞳子の襲名を祝っている。
「こ、こら、ノッポ! あなた、まさか!」
「ええ、黄色薔薇さまにこう進言しときましたわ。そろそろドリルの季節です、って」
「瞳子は季節モノか! ていうか友達を黄色い悪魔に売り渡すなですわ!」
「・・・知っているのよ、瞳子」
「な、なにを」(ぎくっ!!)
「瞳子、この前に黄色薔薇さまにこうおっしゃったそうじゃない。あのノッポはお買い得ですわ、って」
「キィィィィィー!! あ、あのイケイケよけいなことを!!」
「自業自得ね。まあ、がんばってね、瞳子」
「くうぅっ!」
今では親友(本当か?)でもある二人がもめている訳は、リリアンにあるスール制度に今年からあるひとつの特殊ルールが加わったからだった。
そのルールの名前は、こう呼ばれている。
「妹(スール)ローテーション」と。
妹ローテーションとは、未だに妹をお持ちでない「へっぽこーズ」な黄色薔薇さまである由乃さまと紅薔薇さまである祐巳さまのお二人が急遽考案したシステムである。
(由乃さまには今年の新入生に本命がいたらしいのだが「ちょっとアドベンチャー指数が足りないので」と摩訶不思議なことを言われてあっさりと振られてしまったらしい。あと、下級生に異常に人気がある祐巳さまに妹ができないのは妹ができない由乃さまが「ならばせめて道連れを」と下級生にニラミを聞かせているというのがもっぱらの評判だ)
で、その妹ローテーションのルールは簡単。二人が気に入った一年や二年生を校内放送で指名して山百合会の為に馬車馬の如く働かし、二人が気に入ったらそのままスールに向かいいれようという大変ムシのいいシステムだ。
これに指名されたもの立場は、去年の瞳子や可南子たちが去年の学園祭の時の同じのように思えるが、瞳子たちの時とは決定的に違うところがある。それは、基本的に拒否権はない、ということ。
こんな独裁的かつ独善的なシステムが何故採用されたかは疑問に思うところもあるだろう。だが、このシステムはちゃんと全校生徒によるアンケートというれっきとした民主主義による採択によって可決された。
むろん、それにはカラクリがある。そして、これからそのカラクリの種である「本命の放送」が始まろうとしていた。
ぴんぽんぱんぽん〜
『えー、スール交代のお知らせをするね。次回のロサ・キネンシス・アン・ブゥトンは・・・』
その放送が始まったとき、乃梨子の周りが静寂に包まれる。クラスのみなは分かっているのだ。瞳子がババ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)を引いた以上、当たりがこのクラスから生まれるのを。
『・・・細川可南子ちゃんに決定! よろしくね、可南子ちゃん!』
どおお!!
その瞬間、乃梨子の周りから怒号とも悲鳴ともとれるような声が響き渡り、クラスの視線は乃梨子たち、いや、正しくは可南子と瞳子たちに集中していた。
ただ、同じ注目はされても2人に注がれる視線の意味合いはまったく違っている。祐巳さまのローテーションに指名された可南子には羨望と嫉妬、そして由乃さまのローテーションに指名されてしまった瞳子には哀れみと同情の視線がが注がれていた。そこには敗者と勝者、あまりにも残酷な明と暗が2人の立場を鮮明に表している。
その暗である瞳子が口を開く。
「こ、こらノッポ! あなた、祐巳さまの妹にはならない、っていってたのではないですの!」
言われた明の方である可南子は、哀れみの入った笑顔を瞳子の方に浮かべていた。
「ええ、今でもその気持ちに変わりは無いわ、瞳子。でも、せっかくご指名をいただいたのですから、あくまで暫定ということでしたらお受けするのに吝かではないわ。いい思い出になりそうだし」
「キイー!!」
この妹ローテーションがみなに受け入れられた最大の理由は、おそらく「暫定」というのがポイントではないだろうか、と乃梨子は思う。
この暫定と言う言葉が「憧れている祐巳さまの妹になりたい。でも、私なんて」などと思っている大多数の生徒の気持ちを楽にさせてくれたのだろう。だからこそ、令さまという人間サンドバックを失いブレーキ(初めからあったの?という意見はともかくとして)が効きづらくなった由乃さまの妹に指名されるというハイリスクを覚悟してでも、このシステムが受け入れられたのではないだろうかと乃梨子は冷静に分析する。
絶大なる人気を誇る超正統派庶民である福沢祐巳さまの妹が体験できる。いまやリリアンでは祐巳さまのローテーションに選ばれるということはリリアンで一番のステイタスになっていた。
そして、その逆に由乃さまに指名を喰らった哀れな子羊たちは、自らのことを「黄色薔薇のつまみ」と自嘲気味に呼んで毎夜涙で枕を濡らしているという。
それにしても、乃梨子はいつも思う。
来年になれば山百合会には自分以外にメンバーがいないのでないだろうか、と。
そしてこの思いはやがて時が経つにつれ、由乃さまのローテーションが夢の3桁に届くにいたって確信に変わっていくのであった。
「わ、私と変わりなさいですわ、可南子」
「ふふ、いやですわ。ざまあみやがれね、瞳子」
「キイィー!! このノッポォー!!」
(・・・あんたら、本当に親友か?)
終わり。
馬鹿なものを書いてすみません(汗