【553】 眠れる森の美女風暮らし  (西武 2005-09-15 18:17:47)


「ふあぁああ」
「由乃さん、わたしたちもう薔薇さまなんだから、みっともない真似しないでよ」
「眠いんだもの、しょうがないじゃない。んー、よし」
ごそごそ。
「あ、それは聖さまの」
「もういないんだもの、有効に使わせてもらうのよ。じゃ、あとよろしく」
「もう、聖さまがうつっても知らないから」

「ごきげんよう、紅薔薇さま」
「ごきげんよう、菜々ちゃん。見て、いくら春だってひどいよね。どうにかしてくれないかな」
「どうにか、ですか」
そういうと、寝ている由乃さんへ歩み寄って…。
え、そんな。人前でなんて、わたしとお姉さまだってしてないのに。
そうして、二人の距離があと数センチに達したとき、由乃さんの手が電光の速さで菜々ちゃんのお凸を抑えてしまった。
「残念。起きちゃいました」
「あ、菜々だったの。ふぁ、ああ、令ちゃんかと思ったわ…」
「……令さまとよくこういうことされてるんですか?」
「んー?まあ、そうね」
「そ、そうだったの、由乃さん」
「まったく、寝不足にもなるわよ」
かしゃん。
「気をつけなさい」
「あ、ごめんね、片付けさせちゃって」
「い、いえ」
「いいよねえ、家が近いと」
「そんなことないわよ。身がもたないって」
かしゃん。


「毎晩毎晩、何時だと思ってるのよ。まったく…」
「だ、だって、せめて寝顔を見ないと眠れないのよ」
「こっちはおかげで眠れないといってるの」


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