裏祐巳志摩子さん頭が痛い 【No:565】 風さん に続こうと思うんだけどなんか決着するんだろうかこれ
それより少し前。
「ごきげんよう、日出実さん。」
「ごきげんよう、可南子さん。めずらしいわね、朝練は?」
「んー、ちょっとね、事情があって。」
最近、周りが見えてきた、というより周りの人たちと言葉を交わすのが楽になってきた。祐巳さまの妹問題を中心になんだかんだと取材、といいつつ話しかけてくる日出実とはいろいろ話をするようになっていた。
「事情って、これ?」 手に持った瓦版の束を持ち上げる日出実。
「たぶん、そうね。」
「だれに頼まれたの?」
「いろんな人。」
「あーー、やっぱりそうかあ。」天を仰ぐ日出実。
「混乱してるわね、薔薇の館。」
「そう、こんなこと珍しいのよ。いつもなら新聞部相手には一枚岩の山百合会がね、大混乱。」
「私は最初紅薔薇さまに今日はここにいて、祐巳の背中を押してあげてって頼まれた。そのあと、白薔薇さまにもうすこし詳しいことを聞いたわ。祐巳さまが瞳子ちゃんの中にいると勝手に思っている、紅薔薇さまの幻を金星でも冥王星でもすっとばしてって。はーん、それで私が、と、思ったんだけど」
「けど? 祐巳さまね。」
「そう。瞳子を足止めしてくれって。」
ふぅ。と、息をつく日出実。
「こちらも似たようなものよ。夕べ、白薔薇さまから真美さまに電話があって、もう取材がすんでいた、今回の事件を記事にしてもいいって許可だったの。ところが」
「祐巳さまでしょ。」
「そうなの。その結果がこれ。」
これ、を、さっきから読んでいた可南子。
「大暴露ね。ふふふ。ようやくふっきれたのね、あの二人。」
「そうらしいわ。白薔薇さまがなんでここまで祐巳さまを追いつめるのか、すごく不思議だったんだけど、こうなってみるとわかった気がするわ。」
「素直じゃないんだから、二人とも。」
「そういう可南子さん、あなたは? あなたにインタビューしたのはずいぶん前のことだけれど。」
「『祐巳さまの妹になるなんてそんな低俗な野望は持っていませんわ。』『あなた、新聞部なの? ○○○な瓦版に記事にされる覚えはないわ。記事にするんじゃないわよ。×××××な□□□□で○○○って後悔させてやるから。』ってね。あはは。」
「くふふふふ。ちょっと可南子さん、朝っぱらから伏せ字じゃなきゃ報道できない発言はやめてよね。」
「でも、私は祐巳さまに他の人を重ねていた。もうだいたい知ってるんでしょ?」
「うん、正直言えば知ってる。でも、いつか本人にゆっくりインタビューしたいな。いいかしら。」
「そうね。今なら話せるかも。」
「さて、そろそろみんな登校してくるわ。もう、この時間までに号外作り直すの大変なんだから。」
「結局、あの二人にはうまくいってほしいから、違う?」
「うん、可南子さんは?」
「そうでなきゃ、こんなに振り回されてまで朝練さぼって来ないわよ。」
「変わったわね、可南子さん。」
「あなたもね、日出実さん。あのころの三奈子さま追っかけのあなただったらこんなに話はしなかったわ。」
「あ、来た来た。 号外ですー。号外ですよー。なんと、白薔薇さまがー。」
ふむ、最初に来たのは白薔薇姉妹。あーあ、白薔薇さま頭抱えちゃって。
「乃梨子、これ、祐巳さんよね。」
「真美さまが勝手に書くとは思えません。祐巳さまでしょう。」
「いいわ。それならここで、祐巳さんを捕まえる。」
「そう言うだろうと思ってました。ふっきれてますよ、祐巳さま。」
「出番、なくなったかもしれないわね。空回りだったかしら。」
「志摩子さんが祐巳さまと話してみればわかることです。」
「そうね。」