【59】 祐巳専用電動ドリルに萌える  (くま一号 2005-06-19 05:07:45)


「祐巳さま、わたしたちまたレオタードってことは」
「そうよ瞳子ちゃん。怪盗紅薔薇再び見参っ!ちなみにテーマ曲は杏里よ。今度は間違えてはいけないわ」
「要するにお姉さまのノルマというか、あの時適当に書きなぐった目標に全然票が足りないのですわね」
「そういう身も蓋もないことを言ってはだめよ瞳子ちゃん。いままでの票数を合計してみたのよ。そうしたら、萌えた12、笑った58、感動だ9。つまりわたしたちには萌えが足りないのよ」
「感動も全然足りませんけど」
「それは最初から無理だから考えないの」
「それで、3つめのキーワードに萌えるが来たから何も考えずに書き始めたのですわね。作者も祐巳さま並みにおめでたい」

「それも最初から分かってるから考えな・・・いやそれは別として、今夜はここに忍び込むのよ」
「なんですの?唐突に脈絡もなく。ここってリリアンのクラブハウスじゃないですか」
「そう、ターゲットは写真部の部室」
「ははあ、祐巳さま、撮られましたね」
「どどどど」
「どうしてわかるかっていまさらどうしてもこうしてもないでしょう」
「はぁ。その通りよ。私の顔は透過して脳細胞でも見えるのかしら。蔦子さんがリーサルウェポンとまでいう凄い写真がね。いや、蔦子さんにあずけてあれば心配ないってことはわかっているのよ。でもね、その、あまりにも・・・・」
「萌える写真なんですね」
「どどど・ど・ど・ドリフの大爆笑」
「うろたえてよくあるおやじギャグに走るのはやめてください、祐巳さま」
「チャンネル回せば顔なじみ♪ 笑ってちょうだい今日もまた♪」
「えーい、回さない、笑わない、続けなーーーい!(はあはあ)」
「瞳子ちゃん厳しい。ぐすっ」
「あたりまえですっ!ってゆゆゆ祐巳さま、わたくしの胸に顔をうずめてどうするんですかああ」
「瞳子ちゃん、祐巳の恥ずかしい写真がこの中にあるのよ」
「そそそそういう表現をなさいますか」
「手伝ってくれないの?」(上目遣い)
「わかりましたわかりましたから、そこで『ぽこ』なんて言ったらぐーで殴りますよ」
「手伝ってくれるのねっ、瞳子ちゃん優しい。耳たぶ赤い」
「ああああの、卑怯ですわ祐巳さま」

「それで、部室の鍵は閉まっていますよ。最近、高価なパソコンや機器類、楽器なんかが置いてある部室もありますから、ドライバー程度じゃ開きませんよ」
「そうなのよ。こと写真部と新聞部に関しては、山百合会権限で守衛さんに鍵貸してってのも絶対効かないの。そこでこれよ!」
「わ、出た。そんなでかい電動ドリルどこに持ってたんですか、祐巳さま」
「ここ」
「あの・・・わたくしの顔の横っていうお約束を今やってるんですよね」
「うんっ」
「マリ見て関係サイトを見渡せば、少なくとも三千六百回くらいは使われたネタだと思いませんか」
「いいのよ。これはもう水戸黄門の印籠と同じだわ」
「わたくしは越後のちりめん問屋ではありませんわー」
「それはそうよ瞳子ちゃん。越後屋はちりめんは売ってても髪はちりめんじゃないわ」
「それじゃソバージュじゃないですかっ。これは由緒正しい、きっついお嬢キャラの縦ロールですっ。ってまたストーリーが止まってますっっっ」
「そうよ、電動ドリルスイッチオン」
がるるるるるるる
「わあっいきなり」
「ほら、ドアノブが取れたわ。開けるわよ」
「うわ、いきなり省略ですか」
「次は蔦子さんのロッカー破壊」
「あああ、またいきなり。巡回の守衛さんに聞かれますよっドリルの音」
「だから時間勝負なのよ。破壊終了」
「早っ」

「それで、このなかにあるんですね、このアルバムかしら」
「あ、瞳子ちゃん、見ちゃだめっっっ」
「ゆ・ゆみ・さ・ま・・・・(きゅう)」
「あああ、やっぱり。だから見ちゃダメって。どうしよ」

「とにかく瞳子ちゃんよりも写真をまず確保して。えーと、瞳子ちゃんをロッカーに隠して明日の朝取りに来る?それはだめね、蔦子さん隠しカメラをしかけるのにとんでもなく朝早く来るから」
「学校内で夜明かしして明日の朝なにげないふりで『ごきげんよう』って、あああ今わたしたちはレオタードなんだった。これもだめだわ」
「瞳子ちゃん瞳子ちゃん起きて。起きないとぐーでなぐるわよ。って聞こえるわけないか」
「こうなったらしかたがないわ。眠れる美少女を起こす時っていうのはパターンが決まってるのよ。いきなりディープキスっ」うぐうぐうぐうぐ
「ゆ・・・ゆみ・さ・ま・・・って祐巳さまっっっ」
「気がついた?」
「きききき気がつきましたよっっ。ええ、なななななにをなさるんですかっっ」
「瞳子ちゃんにキスして起こしてあげたの」
「ななななぜそういう起こし方を。それにあの、あの、あの、写真・・・・」
「写真って何かしら」
「えーい、しらばっくれるんじゃねー、きりきり白状しろい」
「だから、撮られたのよ、蔦子さんに」
「どどどどどうしてそんな。ででもわたくし見てしまいましたわ。あのような祐巳さまなんて祐巳さまなんて、素敵ですぅ(きゅう)」
「瞳子ちゃん瞳子ちゃん。困ったわね、また気絶してしまったわ。えーい、もう一回ディープキス」うぐうぐうぐ

パシャッ  フラッシュが光る

「やったあスクープ写真」
「笙子ちゃん。張り込んでたの?」
「ええ、蔦子さまがそろそろ来るだろうって。交代で夜の番してたんですぅ」
「その写真、どうするの?」
「どうもしませんわ。そちらの写真も返していただいて、今まで通り保管しておくだけです」
「ってことはこっちの写真、笙子ちゃんも見たのね」
「いいえ。蔦子さまが見せてくれないんです。見せてください」
「だめっ」
「じゃあ瞳子さんとのディープキス写真しかもレオタード、真美さまにお見せして・・・」
「あーあ、おせっかいするんじゃなかったなあ、笙子ちゃん蔦子さんに似てきたよ」
「光栄です」
「はい、写真」
「これが祐巳さまの・・・・・(きゅう)」

「瞳子ちゃん」「ふぁぁ?」
「逃げるわよっ」
「なんだかわかんないけど、はい、祐巳さま」
「その笙子ちゃんのカメラも取り上げて」
「うわー、えげつな」


「それで祐巳さま、目的は達したんですけど」
「そうよ、瞳子ちゃん」
「で、これのどこが萌えなんですか?」
「うーん」


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