【590】 セクシーダイナマイツパワー強力せいぜい意地を張れ  (くま一号 2005-09-20 13:05:41)


「ななななんなんですか祐巳さま。このタイトルで行くんですか。」
「だって出ちゃったんだもん。」
「出ちゃったからって、私たちがセクシーダイナマイツパワー強力ですか? 正気ですか?」
「正気も正気。怪盗紅薔薇と言えばあれよ、瞳子ちゃん。杏里が主題歌を歌ってるあの」
「姉妹三人組ですわね。それとこのタイトルとどう関係があるんですかっ。」

「あのね、あちらもジャンプで最初にパイロット版の短編が一つ出て、それから連載になってるのよ。」
「はあ。よくやるパターンなんですね、宮廷社。」
「そう。それで連載10週で人気が出てこなかったら即打ち切り。当時から有名な話。」
「で、それがこのタイトルとどう関係があるんです?」
「その、北条司のパイロット版、それもまだ北条さん学生の時よ。そのサブタイトルがね、『セクシーダイナマイトギャルズ』だったの。」
「うっわー。すごっ。いつの時代の話ですかっ。昭和、なのは間違いないですわね。」

「1981年。昭和で言うとえーと、わかんない。」
「あああ。最近作者がよく自虐ネタにつかう『四半世紀前』ですわね。」
「ジュネ創刊の年。」
「うあああ。前世紀。」
「そりゃもちろん前世紀だってば。」

「それでね。マリみて原作はその性格から言ってもセクシーダイナマイトギャルズは出ないわよね。」
「うーん。だいたいは二次創作の妄想、もとい、創造ですわね。」
「だから、私たちがせいぜい意地を張るの。」
「ちがう……なんか違う……。」

「もともと卒業制作をしながら締め切りに迫られた北条さんが友達から『泥棒家族』ってどうだ、とか言われたのがきっかけだったとか。」
「はあ、今ではよくあるネタですけれど。」
「ただそれでうまいこと話をまとめられる人ってそうはいないでしょ? 泥棒の家族、でも中に警察官もいて。んで、家族がお互いに何をしているか知らない。当時で言えば『赤川次郎が書きそうな話だなあ』になるの。」
「はああ。たしかに。読んだ覚えがありますわよ。キャッツアイとどっちが先だったかは別として。」
「そういうこと。この一連の話、キャッツアイ文庫版のあとがきに北条さん自身が書いているのだけど、んじゃあ、マリみてのアイディアってなんだったんだろう。」
「いきなり話が飛びますね。学園もの、お姉さまものは、パイロット版の『マリア様がみてる』つまり現在の文庫シリーズの9冊目前半に収録されてる『銀杏の中の桜』が書かれたと思われる1997年頃にはすでにたくさんありましたわ。」

「そうなんだけど、そうじゃなくてね。シチュエーションコメディとしての山百合会。私が一年生の時の、三つの主なカップルがあるわね。」
「えーと、キレる超お嬢様と超平凡平均点のペアと、一見はかなげ実は青信号と凛々しいヘタレのペアと、」
「セクハラオヤジ実は内に影を抱えたガチの美形とマリア様のようなやっぱりなにか影を抱えた美少女のペア。」
「いいたい放題ですわね祐巳さま。」
「いいのよ。この空間ではだれも聞いてないから。」

「で、このシチュエーションをどこかで見た、そう言いたいのですわね。」
「そうなの。で、それがどこだったか思い出せないの。たぶん、赤川次郎だったような気がするんだけどなあ……。」
「泥棒家族の方は、タイトルは思い出せないけど、はっきり読んだ覚えがあるのですわね。けど、こちらはねえ。手がかりがあいまいすぎますわ。」
「たぶん、パクッたとしてもそれとわかるようなパクリかたはしてないでしょうからねー。」
「あのね、祐巳さま。それはパクッたとは言いませんよ。触発されたとか言うんです。」
「ま、そりゃそうだ。」

「で、どこがセクシーダイナマイツなんですか?」
「まあ、いいじゃないの。」
「またかい。」


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