【627】 明日の朝食は紅薔薇のつぼみ  (六月 2005-09-24 00:00:11)


放課後の薔薇の館、今日は会議も無いので紅薔薇のつぼみ姉妹だけがのんびりとお茶を楽しんでいた。
「そういえば瞳子って、柏木さんと仲良いんだっけ?」
「はぁ、悪くはないですわ。母の実家が柏木の家ですし」
「・・・柏木さんと血が繋がってる、と」
「えぇ、優お兄さまとは従兄妹同士ということになるかと。
 それがどうかしましたか?お姉様」
怪訝な表情で瞳子は祐巳の顔を覗きこんだ。
「えーっと、瞳子は柏木さんの性癖聞いてる?」
「は?」
「えーっとえーっと、瞳子って女の子好きだったりする?」
「それはどういう意味ですの?お姉様?」
「うーんと・・・まさかと思うんだけど、もしかして・・・。
 柏木さんのと血が繋がってる瞳子まで同じ性癖だと困るなぁ、と」
困ったような、慌てるよな百面相を炸裂させる祐巳。
それがかえって瞳子を苛つかせてしまっていた。
「その優お兄様の性癖というのはなんですの?」
「知らないの?瞳子が違うんなら、知らないままの方が良いかと・・・」
「なんだかわかりませんが、はっきりとおっしゃって下さい!祐巳さま!」
「は、はいっ」
椅子に座ったままで直立不動の姿勢をとった祐巳は、ぽりぽりと頭をかきながら。
「んとー・・・・・・同性愛者」
「は?まさか優お兄様が?」
「あー、やっぱり知らなかったんだ。
 柏木さんって、うちの祐麒に手出ししてくるし、お姉様にも酷いこと言ってたそうだし」
「酷いこと、ですか」
「うん、結婚しても子供は作れない、自分は同性愛者だからって。
 他所で恋人作って来てくれって、酷いよね」
「そ、それは・・・」
「ま、瞳子が違うなら良かった」
ほっとした表情で笑顔を見せる祐巳に、つられそうになりながらも瞳子はつんとすまして
「まぁ、私はそういう趣味は持っていませんので、ご安心ください」
「うん!」
「お姉様にそのような感情は持っていませんわ」
「あ、そうか!その可能性もあったのか」
「え?そういう意味で困ると言っておられたのではないのですか?」
「ううん、瞳子が祥子さまを好きだと困るなぁ、と思ってたの。
 だって、祥子さまには私って恋人がいるのに、瞳子と三角関係なんて大変じゃない?
 だから、安心した」
「あぁ、なるほどそういうことでしたのね
 ・・・・・・って、えぇぇぇぇぇぇっ!?祥子お姉さまとお姉様が恋人ぉ!?」
驚愕の事実に瞳子は祐巳以上の百面相で驚いてしまっていた、何か言いたげに口をパクパクと動かすことしか出来ない。
と、ビスケット扉が開き祥子が現れた。
「あら、祐巳、瞳子ちゃん、まだ帰らなかったの?そろそろ帰りましょう」
「はい、お姉様」「・・・は、はい、祥子お姉さま」
何かを良いことを思いついたのか、祥子は優しく微笑みながら祐巳の頬に手を添えて。
「そうだ、祐巳。明日はお休みよね、今夜はうちに泊まりに来なさい。
 今夜は、いえ明日の朝も可愛がってあげるわ(ポッ)」
「もう、お姉さまったらぁ・・・(ポッ)」
「えぇぇぇぇぇーっ!?!?これって血筋なのですのーーー???」


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