今日はリリアン女学園内に、テルテル坊主の群れが闊歩している。
名物の白ポンチョに身を包んだ生徒達が、マリア様の庭を闊歩しているのだ。
「はぁ〜、毎回憂鬱よね〜、自分のスタイルの悪さが数字で出て来るんだもん」
「そんな事言って、祐巳さん結構自信があるんじゃないの〜?」
「そんなことないよ〜」
「祥子さまに、可愛がってもらってるんじゃ・な・い・の〜?」
「///、も〜〜〜由乃さん! そんなことしてないんだから!」
「あ〜〜ら、そんなことってどんなことなの?」
雑談を交わしつつ他愛のないじゃれあいに興じているつぼみ二人を、クラスメートは暖かく見つめていたのだが………。
* * * * * * * * * *
「………そ、そんな……うそよ……あんまりよ…まさか…まさか……」
「な、なによ? 何か問題でもあったの?」
由乃の測定表を覗き込んだとたん、祐巳はブルブル震えだす、その瞳にはうっすら涙を浮かべている。
「よ……由乃さんの……」
「……私の?」
「……胸が…大きくなってる〜〜〜〜〜〜!!」
「はぁ〜〜? ってちょっと祐巳さん!! 何処へ行くのよ?!」
白ポンチョを翻してその場を脱兎のように逃げ出す祐巳を、あっけに取られて見送るクラスメート達。
『やっぱり、やっぱり……』
「男の人に胸もんでもらわないと、大きくならないんだ〜〜〜〜〜〜!!!!」
遠くから聞こえて来た祐巳の雄叫びに、学園中が恐怖したと言う……たった一人を除いては……。
『別に…揉んでもらってないけど……祐麒君、もうちょっと待っててねぇ〜』