土曜日の午後、今、私は聖さまのお宅にお邪魔して、とあるアニメを見せられています。そのアニメは昔の中国のお話で、悪い仙人を人間界から追い出すという設定。
最初は渋々見ていたのだけれど、これが中々面白い。
と、いきなり、聖さまがビデオの停止ボタンを押した。それは、ちょうど主人公の太公望と可愛い女の子が戦う場面だ。
「あの、聖さま…?」
「祐巳ちゃん、今の場面、見たね?」
「ええ、一応見ましたけど。」
「よし、それでは早速、今の歌と振り付けを覚えてもらうわよ。」
「な、ななななん」
「何でですかって?それは勿論、見たいからに決まってるじゃない。その為に連れて来たんだから。」
「お、お断りしますっ!」
そのまま回れ右して扉に向かう。
「いいのかな〜?祐巳ちゃん、この写真、祥子とドリルちゃんに見せちゃうよ?」
その写真はななななんと、あの、錢別の時の写真である。
「聖さま、急に教わりたくなりました。ご鞭撻お願いします。」
涙ながらにすがり訴えた。
「そう、祐巳ちゃんがそこまで言うなら教えてあげるよん。」
「早速だけど、これを振りもつけて歌ってみて。」
渡された歌詞みて、とりあえず歌ってみる。
「悪、得、ロリータ、ロリ、ロリ、ロリ♪」
「違うわ、ボケー!!」
あ、あの温厚な聖さまが、いきなりキレた。まるで業魔王だ。
嗚呼、勇者様。アシェリアーナを救う前に私を助けて下さい!
「いい!?そこは、
あっく♪とっく♪ろりぃーた♪ロリっ♪ロリっ♪ロリっ♪
よ。やって見なさい!」
「あ、あっく、とっく…」
「違うって言ってるでしょ?、あっく♪とっく♪ろりぃーた、よ!しかも、振りのタイミングも合ってないわ!もう一回!」
こうして、私はこの意味の分からない特訓に一時間以上付き合わされた。
3時間後
「あっく♪とっく♪ろりぃぃた☆ろりっ♪ロリッ♪ろりっ♪(きゃぴるん☆)」
「うん、上出来だわ。もう私が教える事は何も無いね。」
「……ありがとうございました。」
別の意味での感動の涙が止めどなく流れる。
「じゃあ来週は衣装付きでやってもらうからね。」
「ら、来週もですか?」
「ええ、来週もよ。(写真を見せる)」
「……分かりました。喜んでやらせて頂きます。(大涙)」
誰にも癒せはしない痛み抱いて戦え
by.RagingRiver