この作品はみゆきさまのNo.651「道草を食う淑女」と一体のNo.682「SP孤軍奮闘」の続きのようなものになっております。
この作品の共犯者、もといアイデア提供者は「さんたろう」さま(この前は本当に失礼いたしました)と「水」さまのお二人です(笑)
ええと、この作品は注意点がお代わり自由なぐらいあります。
その1 オリキャラ視点です。
その2 原作キャラが一人もでません(笑)
その3 内容が腐ってます。もはや原作とは別物どころか、マリみてSSといっても誰も信じてくれません。冗談抜きで原作の雰囲気を大切にされている方は読まれないでください。
では、本編にいかせていただきます。
ダバダ〜ダ〜ダ♪ ダバダ〜ダバダ〜♪
こぽこぽこぽ
ちゃ・・・くるくるくる
かちゃ
こくこく・・・ふぅ
ダバダ〜ダ〜ダダバダ〜ダバダ〜♪
祥子さま専属SPリーダーであり護衛のプロ中のプロである守矢の朝は、一杯のコーヒーではじまる。
「ふっ、戦士のささやかな休息というやつか」
ダバダ〜♪ ダバダ〜♪ ダブボッ!!
「休息じゃなくて、おのれはさっさと急速に動かんかい!!」
守矢は何者かに背後から後頭部をドカッ!と蹴られ、その顔の前半分はコーヒーの中へダウントリムで激しく急速に潜行を開始していた。
ぶくぶくぶく・・・ぷはっ!!
このような非常時にも、守矢プロらしく冷静に心に余裕を持ちつつコーヒーを優雅に鼻から味わいながら後ろにいる闖入者の方に目を向ける。
「なにをするのだね。熱いじゃないか、シルバー君!?」
だが、そこには守矢の抗議などどこ吹く風の守矢の部下でありSSS(スリーエス)NO2のシルバーが鬼の形相で仁王立ちしていた。
「なにをまったりとしとんじゃぁー!! おんどれは!! 今、何時だと思っとるんじゃー!! はよ時計を見んかい!!」
守矢はシルバーにそういわれると、プロらしく全く無駄のない必要最低限の動きで机の上にあったこの部屋唯一の時計に目をやる。守矢は、そこから得られた情報の結果を必要と思われるところだけを選び出し、冷徹なプロらしくシルバーに答える。
「2分30秒ぐらい?」
どかっ!!
「なんでおのれは、そこで砂時計に目をやるんじゃあ!! 3分か!? おのれの時間は3分から先はないんかい!!」
「い、いや、時計(ロレッタス)は、「祥子さま道草事件」のせいでの給料カットされて苦しかったから売っちゃったし」
「知るか!! それならテレビでも点けんかい!!」
「わ、わかったから、怒らないで、ねっ、いい子だから」
守矢はシルバーが怖かったので、さっそくTVのスイッチを入れる。
ぷつっ
『おひ〜る休みはウキウキウォッチング♪』
「なっ!?」
その画面から流れてくる映像を見たとき、守矢が己がプロにあるまじき失態をやってしまったことに気づく。
「な、なんということだ」
「・・・やっと己のやってしまったことの重大さに気がついたのですか、隊長」
「ああ、まったくプロとして恥ずかしいな」
「わかってくれたらいいです。まあ、いかにわれ等SSS(スリーエス)といえど人間ですから間違いは起こりうります。・・・隊長が、隊長なのがちょっと間違ってる、と思うときもありますが」
守矢はあまりのことに頭を抱えていた。
「まいったな、10時からコンビニでバイトだったのに完全にすっぽかしてしまった。怒っているだろうな、店長。ああっ」
「そりゃあ怒るでしょう・・・って待て? 今、なんつった、お前」
「ん、聞こえなかったのかね、シルバー君。今夜はカレーにする? それとも、お・ふ・ろ? だが」
「んなこと一言たりとも言ってねえだろうがぁ!! コンビニ? バイト? どういう意味だよ!!」
「いや、最近ちょっと生活苦しいから副業はじめようと思って、ちょっくらプロらしく近くのコンビニにでも働こうかと」
「ふざけるなぁ! それの何処が「プロらしく」になるんじゃあ!!! どこの世界にコンビニでレジを打つSPがおるんじゃあ!!!」
「いや、店長に、一応、本業でSPの隊長やってたりします、っていったら何故か知らないけど大ウケして、いいよっ! 君、採用決定! って。やっぽ、ほら、SPの隊長って結構頼りにされるんじゃあないかな?」
「ちがうわぁ!! ネタと思われてるだけじゃあ!! だいたいそんな事せんでもいい給料もらっとるだろうがぁ!!」
「ふむ、それが今月はカットされたのと、なんかこの前、こちらに振り込んでください っていうダイレクトメールが来て、振り込んだらどうもサギだったみたいで」
「みたいで、じゃねえぇ!! SPのプロがそんなもんに引っかかるな!! むしろあんたがリーダーなのがサギじゃあ!!」
「まあ、そんなに怒らないで、シルバー君。ほら、地が出てるよ」
「誰のせいだと思っとるんじゃあ!!」
まったく、シルバーは守矢の右腕にふさわしい優秀なSPなのだが、時々冷静さを欠く嫌いがあるな。守矢は冷静にそう観察した。
「で、今日は何しに来たのかね、シルバー君。いっとくが、金は借せんぞ?」
「隊長に金を借りるほど落ちぶれてません! 隊長、今日は10時からXデーの打ち合わせをするっていってたじゃあないですか!」
「Xデー?」
その言葉に守矢は訝しげになる。
(エックスデー・・・オプティックメガ・・・いや、惜しいが、少し違う。モルダーな人? いや、これも違う)
守矢の鍛えぬかれた頭脳はフル回転して、やがて一つの答えを導き出した。
「ふっ、落ち着きたまえ、シルバー君。私を誰だと思っている。栄光あるSSSのリーダーであるこの守矢に抜かりがあると思うのかね?」
「なっ、まさか、もう」
「ああ、もうすでに準備は万全、後は時が来るのを待つだけだ」
守矢のその言葉にシルバーは己を恥じるような表情を浮かべた後、慌てて守矢にSSSの敬礼である「全ては祥子さまのために!」のポーズ決めて返してきた。
「しっ、失礼しました、守矢隊長! まさかもう準備を終えられていたとは、このシルバーの考えなど隊長の足元にも及びません」
「いや、かまわんよ。誰にだって間違いはある。大切なのは、同じ過ちを繰り返さない、こと。そうは思わないかね、シルバー君」
「はい、その通りです。このシルバー改めて敬服いたしました。で、ちなみに隊長は、Xデーをどのようにされるのですか?」
「うむ、来週の火曜日のことだが」
「あれ、火曜日でしたっけ? 確か、水曜日だと聞いてたのですが?」
「何を言ってるのかね、シルバー君。火曜日の夜8時に駅前の「つぼ八」に集合、の連絡が来てるだろう」
「・・・つぼ八?」
「ああ、今度のSSSの飲み会はそこだ。幹事の私が言うのだから間違いない・・・ってあれ?」
その瞬間、今まで数え切れないぬるま湯のような修羅場を潜り抜けてきた守矢にさえ、これまで味わったことがない氷のようなまでに冷たい殺気が守矢の全身を貫くように鋭く襲ってきた。
(ちょっとヒンヤリして気持ちいいかも。い、いや、そんなこと言ってる場合じゃないっぽい!)
「あ、あのシルバーさん、どうなされたのですか? な、なにか気に障ることでもあったのですか? あ、ひょっとして会費を使ったのばれちゃった?」
だが、守矢の懺悔の言葉にもシルバーはその目になんの人間らしい感情も浮かべず、ただ見るもの全てを凍らせるような冷たい殺気をその両眼から漲らせ守矢の方へ向けている。
「・・・隊長」
「はい、なんでしょう、シルバーさま」
「一昨日、電話で言いましたよね。来週の水曜日に女王様とコードネーム「タヌキ」が遊園地に遊びに行くと約束した、と」
「言ってたっけ?」
カチャ
「あ、あれ、シルバーさま。どうして拳銃をだして、撃鉄をひいて、銃口をこちらにお向けになられるのですか? 人様に銃口を向けちゃあいけません! ってご両親からいわれませんでした?」
「残念ですが、うちの教育方針は「殺るときゃ 殺る!」でして」
「は、話せばわかる、シルバー君。えっと、何の話だっけ、そう! 君は、私と遊園地に行きたい、そう言いたいんだね?」
プチッ!!
「往生せいやぁぁー!!」
ぱん!ぱぱぱん!! パリン!! バババ!!
「ファ、ファ嫌ァァァァー!!!」
(いろんな意味で)終わり。
ええと、こんなもの最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。