「ねえ、ウサギさん。ボクと競争してくれないか?」
ある日カメはそう言ってウサギに勝負を持ちかけました。
「別にかまわないけど、私と競争するなら、かなりハンデをつけないと、勝負にならないと思うけど」
「それでもやりたいんだよ。ハンデなして」
「本当かい? ボクは別にかまわないけど……」
こうして、ウサギとカメは勝負をすることになりました。
次の日。ウサギはカメに勝つ気満々で、会場までやってきました。
「出題者として、タヌキさんを呼んだから」
「出題者? スターターの間違いじゃないのかい?」
「ウサギさん。もうしかして、ボクと徒競走するつもりだったのかい?」
「競争って言ったら、普通そう思うだろ?」
「ボクとウサギさんで徒競走したらボクがかなうわけ無いじゃない。」
「だから最初にそういったじゃない」
「ボクは別に徒競走なんて言ってないよ。競うのは、クイズの正解数だよ」
「え? そんなこと聞いてないよ」
「ウサギさん、クイズは得意?」
ウサギはその言葉につまらなそうに肩をすくめました。
「そうなの? でも約束だからね。それじゃあ、タヌキさん問題お願い」
にやりと笑うカメ。肩をすくめるウサギ。それを見て準備完了と見たタヌキが問題を出します。
「それでは第一問」
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「それでは、最後の問題です」
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「優勝は、ウサギさん!」
圧倒的な、正解率を誇るウサギにカメはなすすべも無くやられてしまいました。
「なんで! ウサギさん。クイズは苦手じゃあ?」
「私はクイズ苦手だなんて一言も言ってないわ」
呆然とするカメを尻目に、ウサギはにっこりと笑っていいました。
「私、クイズは大好きなのよ」