私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)である。
私達は今、黄の賢者(マギ・フェティダ)こと江利子の提案で、キリストの生誕祭に向かっている真っ最中である。
「あなたと二人っで〜チョッコレッエ〜ト♪
いつでもどこでっも〜チョッコレッエ〜ト♪」
「だから、江利子。誰にも分からないネタはやめなさいって言ってるでしょ?」
「そう?分かる人が一人でもいればいいと思うけど。」
「良くないっ!苦情だって来てるんだから。それに今時、白鯨伝説なんて覚えてる人はいないわよ。」
「蓉子、あんまり気にしすぎると老けるわよ。」
「貴方こそ少しは気にしなさいよ!いくら面白いからって、九十九十九ネタやシャドウスキルは、マイナー過ぎるわよ。」
「それより、江利子。貴方、前回はよくも騙してくれたわね。」
「ああ、あの怠惰スーツの事ね。それで?」
「少しは反省しなさいよ!あなたがあのスーツに透視機能が付いている、なんて言ったから、聖にあんな事してしまったんじゃない。おかげで、聖はどこかに行ってしまったのよ!?」
「だって、まさかあの怠惰スーツを素手で破壊するとは普通、誰も思わないでしょ?」
「と、とにかく!一緒に聖を探して貰うわよ。」
「めんどくさいわね。いいじゃない、お腹が空いたら戻って来るわよ。」
「犬扱いかよ!」
「とりあえず、私は東を探すわ。貴方は西ね。」
「それより、私の占いで探した方が早いんじゃない?」
「そうね。お願いするわ、江利子。」
「じゃあ、早速。
魔導神よ、彼の者の居場所を教えたまえ。」
………
「出たわ。聖の居場所は、東の居酒屋ね。」
「居酒屋ね…、嫌な予感がするわ。とりあえず行ってみましょ。」
「ねー聞いてよ、可愛い子猫ちゃん。蓉子ったらね、酷いのよぉ。いっつも私をドツキまわしてさ、あれ、絶対Sだよ。」
「まあ、可哀想な聖様。お酌して上げるから、お酒でも飲んで全部忘れましょ♪」
「ありがとう、子猫ちゃん。君は私の心の支えよ。今夜は君とずっと居たいわ。」
「まあ、聖様ったら。」
「……何を、やって、いるの、かしら?」
「よ、蓉子。」
「心配して来てみたけど、随分と楽しそうね。聖。」
「い、いや此はね…」
「ねぇ、蓉子。この酒代だと、旅の資金がなくなるわよ。」
「え、江利子まで」
「聖、覚悟はいいわね。」
「ちょ、ちょっと待」
彼女達の旅は続く、
…のだろうか?