10月27日の朝、椿組で一番最後に教室に入った、白薔薇のつぼみこと二条乃梨子。
当然のことながら、クラスメイト全員の視線が集中する。
ノロノロと教卓の前まで歩くと、真正面を向いて、全員の顔を力なく見渡す。
そして、大きく息を吸い、開口一番。
「阪神日本一、ならずー!」
『ああーん!』
乃梨子の音頭に合わせて、全員が落胆の叫び声をあげた。
「いやーなによあの試合。弱かったわね阪神も」
「かしらかしら」
「日本一無理かしら」
「いや、なれんかったっちゅーねん」
椿組に集う乙女たちは、一部例外を除いて、全員乃梨子に影響されていた。
もしここに阪神の選手がいたなら、皆で徹底的に攻め立てるところだ。
「それにしても、大量得点差で四連敗とは思いもしませんでしたわ」
「酷かったよねアレ。これなら、昔のようにロッテファンでいるべきだったわ」
阪神が一敗するたびに、乃梨子の機嫌が悪くなり、三連敗した次の日には、誰も乃梨子に近づけなかった。
「まーなんにしても、終わったことは仕方がない。取りあえずはおめでとーロッテ!」
『おめでとーロッテ!』
「覚えてろー阪神!」
『覚えてろー阪神!』
阪神を責める悪態は、担任が教室に来るまで、椿組の教室に響き続けた。
そして、阪神ファンの担任も、落胆していたのは言うまでもない。
※これは、No.676の続編のようなものです。