【775】 やっぱりリコちゃん慟哭  (朝生行幸 2005-10-27 11:35:08)


 10月27日の朝、椿組で一番最後に教室に入った、白薔薇のつぼみこと二条乃梨子。
 当然のことながら、クラスメイト全員の視線が集中する。
 ノロノロと教卓の前まで歩くと、真正面を向いて、全員の顔を力なく見渡す。
 そして、大きく息を吸い、開口一番。
「阪神日本一、ならずー!」
『ああーん!』
 乃梨子の音頭に合わせて、全員が落胆の叫び声をあげた。
「いやーなによあの試合。弱かったわね阪神も」
「かしらかしら」
「日本一無理かしら」
「いや、なれんかったっちゅーねん」
 椿組に集う乙女たちは、一部例外を除いて、全員乃梨子に影響されていた。
 もしここに阪神の選手がいたなら、皆で徹底的に攻め立てるところだ。
「それにしても、大量得点差で四連敗とは思いもしませんでしたわ」
「酷かったよねアレ。これなら、昔のようにロッテファンでいるべきだったわ」
 阪神が一敗するたびに、乃梨子の機嫌が悪くなり、三連敗した次の日には、誰も乃梨子に近づけなかった。
「まーなんにしても、終わったことは仕方がない。取りあえずはおめでとーロッテ!」
『おめでとーロッテ!』
「覚えてろー阪神!」
『覚えてろー阪神!』
 阪神を責める悪態は、担任が教室に来るまで、椿組の教室に響き続けた。

 そして、阪神ファンの担任も、落胆していたのは言うまでもない。


 ※これは、No.676の続編のようなものです。


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