【891】 ドクター継母  (いぬいぬ 2005-11-20 10:27:19)


※ このSSは、江利子が山辺氏の妻となってから数年後という設定でお贈りします。

一部、設定が【No:435】とリンクしておりますが、このSS単体でも問題なくお読みいただけます。





「まだ熱が下がらないみたいね。食欲はある?」
「・・・・・・・・・・・う”・・・・・・・・ま・・・だ・・・・・・」
「ああ、ごめんなさい。返事しなくて良いから」
 お母さんが優しく私の額を撫でてくれる。指先が冷たくて気持ち良いなぁ・・・
「でも、インフルエンザでなくて良かったわね。風邪だから、滋養に良い物を食べて暖かくしていれば良くなるわよ」
 うん、そうする。
「とりあえず食欲無くても何か食べないとね」
 ・・・・・・まだ喉痛いんだけどな。
「喉が痛くても飲み込めるように、柔らかい物作ったから。少しでも食べてちょうだい」
 さすがだなぁ、お母さん。何でもお見通しなんだね。
 ・・・・・・私の事、良く解かってくれてる人がいるって嬉しいな。
「バナナをココナッツミルクで煮て、お砂糖で味付けしてみたの」
 美味しそうだな。それなら食べられるかも・・・
「バナナは滋養に良いし、砂糖は喉に良いのよ。それに、マレーシアでは風邪の時、民間療法としてココナッツミルクを2リットル飲むらしいわ」
 ・・・・・・2リットル?
「まあ、さすがにイキナリ2リットルも飲んだらお腹壊しちゃうわよね」
 良かった・・・ お母さんが何だか嬉しそうに話してるから、本当に2リットル飲まされるかと思った。
「どうしたの? 不安そうな顔して。いくら私でも2リットルも飲ませたりしないわよ? 」
 いや・・・ 絶対にしないとは言い切れないと思うな、お母さんの場合。
「ほら、暖かいうちに食べて。はい、アーン」
 アー・・・ ん、何かヌチャヌチャしてる・・・
「お味はどお? 」
 今、味なんか解かる訳・・・・・・ あれ? 甘い? 
 わぁ・・・ 甘さが口の中に染み込む感じ。ここの所、何食べても味が解からなかったから、ちょっと幸せ。
「フフフ。どうやら、お気に召したようね。そんなに美味しいのかしら? どれ、私も一口・・・」
 あ、お母さんたら、それ私のなのに!
 ・・・・・・あれ? 何で眉間にシワ寄せてるの?
「よくこんな物食べられるわね・・・」
 おい! ちょっと待て!! どういう意味よそれ?!
「あ〜・・・ 血糖値が急上昇しそう。甘さって、限度超えると舌がしびれるのね。初めて知ったわ」
 え?
 ・・・もしかして、今の私に味が解かるってのは、極度に甘いって事?
「良く考えたら、バナナもココナッツミルクも糖分含んでるものね。そこに砂糖なんか入れたら、この凶悪な甘さにもなろうってものよね。甘いの嫌いな人ならショック死するかも」
 え・・・ そんなに甘いの? すごく美味しかったんだけど・・・
「まあ、あなた昔カルピスの原液を嬉しそうに飲んでたくらいだから、甘いのは平気なのかもね」
 え”?!  私、そんな事してたの?
 とめてよ! 母親として!
「はい、アーン」
 アー・・・  んぐ、むぐ・・・・・・やっぱり美味しいなぁ。
「いっぱい食べてね。・・・・・・・・・・・・・・・モノスゴイ勢いで太りそうだけど」
 !!!
「はい、アーン・・・・・・ どうしたの? ほら、お口開けて」
 絶対イヤ。
「あ、“太りそう”って言ったの気にしてるの? あなたまだ小学生なんだから、少しくらい大丈夫よ」
 絶対イヤ!! 乙女心は成長期なんて言葉には誤魔化されないんだから!
「もう、仕方無いわね・・・ そうだ!」
 ・・・何? そのヤケに嬉しそうな顔。
「これも民間療法なんだけどね・・・」
 何?その袋。
「兄貴に頼んで、ようやく入手できたのよ(ガサガサガサッ!)」
 !! い、今、袋が動いたぁ!!
「あら、イキが良いわね(ガサガサガサガサッ!)」
 イキ?! イキって何よ!
「イモリって、こんなに激しく動く生き物だったのね(ガサガサッ! ピタンッ! ガサガサッ!)」
 イモリ?!
 い、い、い、い、今のピタンって音、もしかしてシッポ?! シッポで紙袋叩いてんの?!
「まあ、黒焼きにするから、食べる時は暴れないから・・・(ガサッ! ピタンッ!)」
 そういう問題じゃない!! 
「あ、黒焼きってね? 空気を遮断して炭化するまで焼くんであって、コゲとは違うんだって。だから苦くないらしいわよ? (ガサガサッ! ピタンッピタンッ! ガササッ!)」
 苦いとか苦くないとかの問題じゃないわよ!!
「少し焼くのに時間かかるけど(ガサガサガサガサッ! バリッ!)・・・あっ」
 バリ?

 ひゅうぅぅぅん・・・・・・・       ぴとっ

「!!!!!!%$!’(;゚Д゚)%&☆○◎※gnhfuok・゚・(ノД`)・゚・Ш*>‘‘P+|¥!!」
「あら。さっきのバナナが効いたのかしら? こんなに元気に動きまわれるなんて」
 

 ベッドから飛び出した私は、壁際で崩れ落ちながら一つの事実を知った。
 人間、どんなに消耗してても、緊急事態(イモリが空中遊泳の末に顔に貼りつくとか)の時は、ちゃんと動けるんだって。

「良かった。もう大丈夫ね」

 大丈夫ぢゃない。色んな意味で大丈夫ぢゃない。










「まだ熱が下がらないみたいね。食欲はある?」
「・・・・・・・・・・・う”・・・・・・・・ま・・・だ・・・・・・」
「ああ、ごめんなさい。返事しなくて良いから」
 私は、お母さんの額を優しく撫でてあげた。
「移しちゃってゴメンね? でも、風邪だから、滋養に良い物を食べて暖かくしていれば良くなるわよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。お母さんじゃあるまいし、イモリなんか捕獲してきてないから」
 お母さんは、まだ不審そうに私を見ている。
「ほら、お母さんの作ってくれたバナナのミルク煮、私も作ってみたの。遠慮せず食べてね? はい、アーン」
 お母さんは、しぶしぶバナナのミルク煮を食べ始める。
 ふふふふふ・・・・・・ いっぱい食べて、いっぱい貯えてね? 体脂肪とか体脂肪とか体脂肪とか。
 それにしても、バナナと同量の砂糖をブチ込んだのに、普通に食べてるなぁ・・・ やっぱり風邪の時は味覚が鈍ってるのね。
 私は続いて紙袋を取り出す。
「!!!」
 お母さんの顔色が変わる。
 あ、お母さんの動揺する顔って初めて見るかも。
「だから、イモリなんか捕まえてないってば」
 私は紙袋から、10cm程に切った長ネギを取り出してみせた。
「・・・・・・・・・」
「安心した?」
 お母さんが、見て解かるほど安堵している。まったく、イモリなんて捕まえる訳無いじゃない。

 同 じ こ と し て も 、 面 白 く な い し ね 。

「私も民間療法について調べてみたんだけどね? 」
「 ? 」
 私は長ネギの皮を一枚剥き、にっこりと微笑みながら教えてあげた。
「長ネギをオシリの穴に差し込んどくと、熱が下がるんだって♪」
「 !!! 」
 お母さんは、慌てて逃げようとするけど、風邪で体力が落ちてるから、小学生の私でも簡単に捕まえる事ができた。
「大丈夫大丈夫。痛いのは最初だけらしいから」
「!?!(&&%&☆=〜−0gwsmt+*(;゚Д゚)◎■△☆★!!!」
「はい、脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
 私は、尚も逃げようとするお母さんのパジャマを、ぱんつごと一気に引きずり下ろし、ゆっくりと長ネギを構えた。





※ 以下がちゃSルール(18禁)に従い描写を削除


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