「あれから(【No:952】)今まで、貴様は何をやっていたんだー!このバカちんがあーー!!」
その時天使は激昂していた。
「…ひっく、……だって、決心が、つかない、ですし、それに、私は別に祐巳さまと、手を繋ぎたいなんて………」
「貴様はツンデレで命を捨てるきかーー!!」
腹部の古傷を押さえ、肩で息をする死条天宮。
現在8時。後一時間しか無いのだが、未だに瞳子は命題をクリアしていなかった。
「うっ、ううっ…どうしましょう、天宮さん…。」
「大丈夫だ。今日は山百合会の都合で、福沢祐巳は体育館にいる。何とかして命題をクリアするんだ!」
そう言って、天宮は泣きじゃくる瞳子を引っ張って、体育館の中に突入していく。
「あ、乃梨子ちゃん……と瞳子ちゃん?」
「ごきげんよう、祐巳さま。瞳子が手伝ってくれると言ったので、連れてきました。」
そう言って、瞳子を中にいれる
「ご、ごきげんよう祐巳さま。微力ながらもお手伝いしますわ。」
「あーー、ごめんね。もう仕事は終わっちゃったんだよ。」
そう言う祐巳は、よく見れば帰り支度を終えている。
「そ、そうですの……」
「(小声)ほら!チャンスではないか!さっさと一緒に帰ろう、と言え!」
「(小声)そ、そんなの無理ですわ…だ、だって……」
二人が小声でせめぎあっていると、そこに
「祐巳さま、一緒に帰りませんか?」
「あ、可南子ちゃんも今帰り?」
練習を終えた可南子が現れた。
「な、細川可南子!」
「あら、瞳子さん。ごきげんよう。さあ、祐巳さま一緒に帰りましょう?」
うめく瞳子を後目に、祐巳の手を握る可南子。それを見た天宮は、瞳子に囁く。
「いいのか?松平瞳子。このままでは細川可南子に福沢祐巳を持って行かれるぞ!おまえの人生、それでいいのか!!」
「……そうですわ、細川可南子に取られるぐらいなら…!」
気合一閃、ガバッと前に出る瞳子に出る。
「ど、どうしたの、瞳子ちゃん?」
臆する祐巳。
「ゆ、祐巳さまは私と帰るんです!邪魔をしないで下さいまし、可南子さん!」
そして、祐巳の手を可南子から奪いとり……
「瞳子さん!危ない!」
後ろにあったゴールが落ちる。
「「「…………………」」」
「カーット!はい、九時ジャストォー。」
あまりの事態に、天宮(乃梨子)のアクションにツッコム事すら出来ない三人だった。
ともあれ、瞳子は第一の命題をクリアしたのだった。