【99】 決まりました  (OZ 2005-06-25 10:32:43)


一眼レフのカメラで、ぱしゃりぱしゃりと写真を撮る江利子さま。しかも超望遠
この方とは、姉の剣道の大会を応援しに行ったときに知り合った。
江利子さまの向けているカメラの先を、見てみると、

そこに見えるのは、おさげがよく似合ったかわいい由乃様と、う〜ん たぶん あれは令様かな?じ〜、あ やっぱり令様だ。
その由乃様はその先に見える四人を、カメラで夢中で撮っているようだ。
 
満足するような令様に楽しげな由乃様、その先にはおのおの、場所は違えど、お鼻を押さえている4人の女性。
ヘアピンを付けている人、めがねを掛けている人、などなど。不思議な光景だ、

「江利子さま、江利子さま」
「ん、なあに?」
「高等部って何か、面白そうなところですね、」
「ええ、結構いろんな事があるから、なかなか飽きない所よ、菜々ちゃんももうすぐ実感できるわよ。」っと、カメラを覗きながら江利子さまは答えてくれた。
「そのようですね、あ、でも、あのヘアピンの方は新聞部の山口真美様、めがねの方は写真部の武島蔦子様ですよね、でも、何でお鼻から血を流しているのでしょう?ぶつけた、とかでしたら早く治療しなくてはいけないと思うのですが?」
「はは、菜々ちゃんはやさしいのね、でも大丈夫、あれは、しあわせのバロメーターみたいなものだから」
「はあ、そうなんですか・・・」
「菜々ちゃんも、いずれ分かる日が来るわよ・・・って、あなた!ここからあの状況が見えるの!!」カメラからガバっとこちらに顔をむけた。
「は・はい、別に普通に見えますけど・・・それが何か・・」いきなり江利子さまが叫ぶものだから、私は少々びっくりしてしまった。

それもその筈、江利子は由乃たちに気づかれない様、ゆうに200メートルは離れた茂みから、望遠レンズのカメラでこの状況を撮影していたのだから

「菜々ちゃん、視力はどのくらい?」
「えっと、最近は計ってないのでよくは分からないですけど、それほど悪くはないと思います、けど、」おずおずと答える私に、江利子さまは
「そ、そうなの、ま、いいわ、とりあえずこれからも由乃ちゃんをよろしくね」っと、にっこり微笑んで、またカメラを覗き込む。
「は、はあ・・」
なんかよく判らなかったけど、素直にうれしかった。『由乃ちゃんをよろしくね』という言葉になぜか心が熱くなり、私はいずれ訪れる、高等部生活がとても待ち遠しくなった。




江利子はカメラ越しに見える由乃に強烈な念を送る。
『それほど悪くはないと思います、』それほどって、よすぎよ!! この子おいしい、おいしいわ、可愛くて、やさしくて、ちょっぴり天然、
しかも、由乃ちゃんを慕っている。

由乃ちゃん、こんな子、黄薔薇ファミリー以外の誰かに取られたりでもしたら、絶対に許さなくってよ!!


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