がちゃS・ぷち
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No.3284
作者:ex
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2010-09-10 19:16:52
萌えた:22
笑った:34
感動だ:12
『近く遠く全力を追いかけている知的な才女』
「マホ☆ユミ」シリーズ 「祐巳と魔界のピラミッド」 (全43話)
第1部 (過去編) 「清子様はおかあさま?」
【No:3258】【No:3259】【No:3268】【No:3270】【No:3271】【No:3273】
第2部 (本編第1章)「リリアンの戦女神たち」
【No:3274】【No:3277】【No:3279】【No:3280】【No:3281】【No:これ】【No:3286】【No:3289】【No:3291】【No:3294】
第3部 (本編第2章)「フォーチュンの奇跡」
【No:3295】【No:3296】【No:3298】【No:3300】【No:3305】【No:3311】【No:3313】【No:3314】
第4部 (本編第3章)「生と死」
【No:3315】【No:3317】【No:3319】【No:3324】【No:3329】【No:3334】【No:3339】【No:3341】【No:3348】【No:3354】
【No:3358】【No:3360】【No:3367】【No:3378】【No:3379】【No:3382】【No:3387】【No:3388】【No:3392】
※ このシリーズは一部悲惨なシーンがあります。また伏線などがありますので出来れば第1部からご覧ください。
※ 4月10日(日)がリリアン女学園入学式の設定としています。
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☆★☆ 4月23日(土曜日) ☆★☆
危機保安レベルVの発令から1週間が過ぎた。
武蔵野周辺では、この1週間の間にも、異空間ゲートが9回出現したことが確認されている。
このうちの4回は日曜から火曜にかけて出現。魔物やモンスターの姿は確認されず、3回は自然消滅。1回だけ魔術騎士が異空間操作装置を使用したことで問題なく処理された。
また、水曜日には3回出現したが、D級魔物が1〜2体現れた程度であり、戦闘らしい戦闘は行われずに魔物の撃退に成功している。
魔術騎士の巡回パトロールも頻繁に行われ、その士気も高く、市民には平穏な生活が出来てきていた。
しかし、木曜日、またしてもにオルトロスの群れが5体出現。
ちょうど巡回パトロール途中の魔術騎士団と遭遇。
激烈な戦闘が行われたが、魔術騎士団が3チーム集結したため、軽傷者3名を出しただけで事なきを得た。
そして、昨日、ついに恐れていたことがおきる。
K駅に程近いI公園で小規模の異空間ゲートが出現。
公園内でジョギングをしていた非番の魔術騎士1名とその友人5名のグループが、すぐ目の前に現れたゲートから飛び出してきた魔物に襲われ、うち1名が死亡、5名が重軽傷という悲惨な事故が起きた。
出現した魔物はC級のキマイラ一体だけであったが、不意をつかれたことで、急な対応が出来なかった。
公園内を巡回パトロールしていた魔術騎士団によりキマイラは即時撃退されたが、ついに最初の犠牲者が出てしまった。
また、武蔵野だけではなく、目黒、原宿、渋谷といった中心地や、所沢市、川崎市、府中市といった周辺地域でも、一週間で計7回の異空間ゲートの発生が確認された。
こちらではわずか数分のうちに異空間ゲートは自然消滅しており未だ人的な被害は無い。しかし危険地域が広がってることを予想させる事態であった。
☆
危機保安レベルVの発令以降、政府と東京都、神奈川県、千葉県などの関東各都県はさまざまな手段を講じ、市民の安全を図ろうとしてきた。
どうしても、高齢者や未就学の児童を抱える家庭では魔物に対応することが困難である。
このため関東近県の県営住宅や市営住宅に優先的に転居することが出来るよう法律の改正が可決され、補助金制度も設けた。
また、近県のホテルを50箇所借り上げ、緊急の老人ホームとした。
さらに、日本各地のビジネスホテルのほとんどと避難民対策契約を結び、レベルV区域からの避難民であれば3割程度の料金で居住することが出来るように補助した。
一方、魔法・魔術騎士団にも多額の予算を割き、人員の確保と装備の充実に努めた。
さらに、小笠原研究所をはじめ、国内の対魔研究所にも研究費の増額が行われた。
このように各種の政策が次々と実施されてきた中での事故である。
政府のあせりも大きい。
しかし、それ以上に市民の間には、いつまで危機管理レベルVが継続されるのか、不安が広がっていた。
羽田空港は閉鎖され、東京の空から飛行機が消える。
小学校以下の学校は休校が続いている。
市民生活に多大な影響が出始めていた。
東京のゴーストタウン化・・・しゃれにもならない事態が迫っているのではないかと思われた。
☆
土曜日の早朝、リリアンのマリア様の前では、一組のスールが涙の別れをしていた。
「お姉さま、もうしわけありません・・・わたしだけ・・・」
「いいのよ、あなたには幼い妹さんもいることだし。家族を大事にね。
あなたとは、どこにいてもスールなんだから」
「・・・はい・・・お姉さまもご無事で・・・」
リリアンの生徒の中にも、地方の親戚を頼って引越しをする生徒が出てきていた。
「これから、リリアンの生徒も少し減ってしまうかもしれないわね」
「緊急連絡体制や小隊の変更も毎日のように行わなければならないし、ちょっときついわね」
蓉子と江利子は別れを惜しむスールを眺めながら薔薇の館に急いでいた。
「ロサ・キネンシス!」
後ろからかけられた声に振り向く。
そこには、自警団に応募してきた4名の2年生の姿。
「本日の校内早朝パトロールは終了しました!」
「ありがとう、ごくろうさま」
「いえ、薔薇様方のご苦労に比べたらこれくらい・・・。ではごきげんよう」
「ごきげんよう」
「あの4人、がんばっているわね」
「ええ、2年生の中では実力も抜きん出てるし、責任感も強いわ。
でも、自警団の人数が少なくて、毎日の校内早朝パトロールをあの4人にまかせっきりなの。
無理してるのはわかるけど、こればかりはどうしようもないわね」
「あなたが一番無理してるんだから・・・
ま、しかたない。 この江利子さんもちょっと本気出すかなぁ」
「・・・・・・いつも本気を出してくれると嬉しいのだけど?」
「あはは、ごめんごめん。 じゃ薔薇の館に急ぎますか」
『ミス・オールマイティ』、鳥居江利子の本気宣言に、実は嬉しさを隠しきれない蓉子であった。
☆
ロサ・フェティダ=鳥居江利子。
ロサ・ギガンティアである佐藤聖とは、リリアン幼稚舎時代からの喧嘩友達。
いや・・・本人たちは、友達、とは思っていなかったようだが・・・
「デコちん!」「アメリカ人!」と言い合ってくんずほぐれつの喧嘩をし、幼稚舎の先生を困らせていた、というのはもはや伝説。
武門の名家、鳥居家は、文武両道に秀でた一門であり、江利子の父親は会社経営者、兄3人はそれぞれ、元アメリカンフットボール選手(現:魔術騎士団拳闘士)、歯科医、俳優として活躍している。
ハワイに別荘を持つお嬢様であり、小等部から高等部まで勉学、魔法、武道ともトップクラス。
嫌いな言葉は「努力」と「虫歯」
常に脱力しており、興味を持ったことにしか反応しない。
優等生の蓉子とは中学1年時からの付き合いであるが、努力家の蓉子に一目置きながらも競争する気にもなれない。
中等部では、剣術で蓉子に次ぐ実力者であり、体術では聖と互角。魔法では内藤克美とならんでトップの成績。
努力もせず、なんでも卒なくこなすその姿からつけられた二つ名が、『ミス・オールマイティ』。
高等部に入学してからは、「したことがなかった」という理由だけで弓道を選択。
まったくの初心者であったにもかかわらず、1年生の3学期には錬士六段の名人と試合をして勝利。
2年生時に薔薇十字を授けられた、まさに天才。
その矢はいかなる障壁もものともせず、『神すら射殺す』と恐れられている。
顕現する薔薇十字も弓である、といわれているが、その姿を見たものは少ない。
本人曰く、「裏の裏をかいてこそのアーチャー。本気になったら負けよ」 だそうであるが、蓉子に言わせれば
「本気になった江利子がどこまですごいのか計り知れないわ・・・ただ・・・人間としてダメじゃないの?」 とのことである。
2年生に上がった直後、新入生の令を見て一目ぼれ。
毎日のように武道場へ足を運び、妹に口説き落とした、という『すっぽん』のような食いつきを見せることもある。
☆
リリアン女学園の土曜日の授業は通常であれば午前中だけ一般教養が行われるのが常である。
しかし、レベルV継続中である今日は、午前中すべての授業が実技訓練にあてられていた。
そして、一年生の武道場では・・・
「キュッとしてパッ、キュッとしてパッ、はい、キュッパッ、キュッパッ、キュッパッ・・・」
「ギュってしてど〜ん、ぴょ〜んでギュルギュル〜、ギュってしてど〜ん、ぴょ〜んでギュルギュル〜」
なんとも、間の抜けた掛け声がかけられている。
しかし、その間の抜けた掛け声の割りに、生徒たちの動きが異常。
3mもの距離を一瞬で移動、逆袈裟に切り上げた剣が鋭い突きに変化。
かと思えば、こちらでは、後方宙返りをしながらひねりを加え剣を回転させながら突きを放つ。
祐巳の神速の動きを身につけようと、祐巳流の掛け声で実践している生徒たちの姿があった。
掛け声が間の抜けたものであるだけに、一人ひとりの動きがリラックスし、動きに硬さがない。
「この恥ずかしい掛け声にここまで効果があると思わなかったわ」
「この4日間で、みんな一気に動きが良くなったね〜」
志摩子は、なんともいえない表情をしているが、祐巳はニコニコしながら訓練に励む同級生を見ていた。
月曜の訓練で、ついに36人掛かりを行い、志摩子と祐巳の二人に敗戦をしてしまった剣術部門の生徒は、火曜日以降、祐巳流の動きを取り入れた。
模擬戦闘訓練の最初の1時間を、祐巳流の基礎訓練に当てることにしたのだ。
ただ、祐巳が掛け声をかけながら訓練をしたため、こんな間の抜けた状態になってしまった。
「でも、志摩子さん、『恥ずかしい』は、ないんじゃないかなぁ」
「あら・・・ごめんなさい。 根が正直なもので」
「・・・志摩子さん・・・ひどい」
☆
一瞬で詰められたその間合いに、覚悟していたとはいえ、志摩子は驚きを隠せなかった。
(やっぱり・・・・・・速い!)
疾駆してきた勢いを消さぬままに、祐巳が薙ぐように右手の棒を振るう。
その一撃を模擬剣の腹で受け止めながら、志摩子は胸中で叫んでいた。
一年生の他のメンバーが基礎訓練をしている間、祐巳と志摩子の二人だけで1対1の訓練が行われていた。
祐巳の攻撃は恐ろしく重い。
振るっている腕自体は信じられないくらい細いのに、スピードと遠心力が重さを感じさせる。
祐巳自体は大して力をこめていないのは明らか。
緊張が微塵も感じられない動きは、あくまで素早さを重視しているのに、破壊力もすごい。
志摩子の動体視力の限界でなんとか見えるその動きは、付いていくのがやっとだった。
「わ、防がれちゃった」
僅かながらも感嘆の響きを有する声。
志摩子がそれに答えるより速く、祐巳は二撃目、三撃目と、二連撃を繰り出す。
一撃目を加えたその姿勢から棒を反対側の腕に持ち替え、流れるような動作で棒を回転させる。
一見緩やかに見えるその動作は、単純に必要最低限の動作というだけで、動きに翻弄された志摩子の左肩を棒の先端、返す反対の先で右脇を強打していた。
ビリビリッ!と電流の走ったような感覚が脊髄を突き上げる。
「くっ・・・・・」
悲鳴を押し殺し、志摩子は模擬剣を胴の高さで横に振るった。
志摩子必殺の回転切り。
相手に回避の隙を与えないその一撃は、すっとその場に身を沈ませた祐巳の頭上を過ぎる。
志摩子の模擬剣と祐巳の頭の隙間は、わずか数センチしかない。
志摩子は、剣を振るった勢いのまま、回転しながら祐巳から距離をとる。
祐巳は、先ほどまで志摩子ののどがあった場所に棒の先端を突き出していた。
「すごい、志摩子さん、やるね〜」
「祐巳さん、危ないじゃないの!今の突き、当たってたらわたし病院送りよ!」
「いや、志摩子さんならよけれると思って・・・そうでしょ?」
祐巳は、さらに一度沈み込んで・・・跳んだ。
つま先に集中させた覇気をばねに、志摩子の真横に一瞬で入る。
予想以上に早い祐巳の動きに志摩子は頭一つ分上半身をそらしながら後ろに飛ぶ。
その刹那、後方から回転してきた棒先が志摩子の頭を襲う。
シャッ、と髪の毛をかすり棒先が志摩子の目の前を行き過ぎた。
「あれ、外れちゃった〜」
「だから、そんな攻撃、当たったら死ぬって!」
大声で文句を言いながら、志摩子は打突3連撃を祐巳に放つ。
「お、早くなった〜」
祐巳は、のんびりした声に反して鋭く突きに向かって踏み込み、カウンターで志摩子の胴を薙ぐ。
「志摩子さんも、この4日で随分早くなったよ」
「・・・そう言ってくれると嬉しいわね」 薙がれたわき腹を押さえ志摩子が呻く。プロテクターの上からの打撃なのに予想以上に効く。
祐巳は、志摩子の一撃一撃に応え、体制が整うまで待って攻撃、防御をしている。
志摩子はすでに息が上がりそうになっているのに、祐巳は呼吸一つ乱していない。
(これが祐巳さんと私の差・・・)
荒くなった呼吸を必死に押さえ込みながら、志摩子は祐巳を見つめる。
小さな絶望が、背筋を走りぬける。
こめかみを過ぎ、頬を伝ってあごから滑り落ちる幾滴もの汗を感じながら、志摩子は祐巳の隙をうかがう。
(見た目は隙だらけなのに・・・)
「それだけ早く動けるんなら、やっぱりここの全員を相手に出来るよ?」
「そんなこと・・・試したくもないわ」
「そんなことないと思うけどなぁ・・・。きっとできるよ」
祐巳がにこっと笑った瞬間、志摩子が体を弾けさせる。
一息で祐巳との距離を詰め、左側の腰に添えるような形で構えていた模擬剣を、気合と共に反対側の上空へ振り上げる。
腰の捻り、踏み込み、呼吸、スピード。
今の志摩子のすべてをかけた一撃。
すべてが完璧に近い完成度だと自覚しながら、志摩子は渾身の力で模擬剣を振りぬいた。
・・・いや、振りぬこうとした。
・・・ガッ、と嫌な音がして模擬剣が止まる。
志摩子の渾身の一撃を受け止めた祐巳の棒が、志摩子の模擬剣を中心に一回転。
そして、棒の動きはそのまま祐巳の動きだった。
棒が回転すると同時に跳躍した祐巳は棒の先端で志摩子の背を叩き、着地した姿勢のまま、足を払った。
どっ、と志摩子が床に這い蹲る。
「まった・・・く、もう遠慮も・・・して・・・くれないのかしら?」
背に叩き込まれた衝撃で呼吸が苦しい。
内臓にまで打撃の影響が出ている。
「ごめん、志摩子さん。 今の志摩子さんの踏み込みが予想以上に早かったんで、ちょっとやりすぎた」
祐巳が一瞬泣きそうな顔になる。
「もう・・・そんな顔されたら・・・怒れないわ」
「あ・・・そうだ!」
祐巳が自分の荷物を置いている場所まで走る。
「これこれ! お姉さまにいただいたの。 使って!」
祐巳が取り出したのは、澄んだブルーの液体が入った小瓶。
「小笠原研究所で作ってる試作品! 『ソーマの雫』っていって打撃による打ち身捻挫に効果がある・・・そうです?」
「そこ、どうして疑問系?」
「いや、怪我したら使え、って言われただけなんで・・・。たはは、よく効能を覚えてないの」
「まぁ、祥子さまが祐巳さんに渡したものなら安心ね。ありがたくいただくわ」
☆
さすがに小笠原研究所の試作品。
志摩子の打ち身による痛みはあっけなく引いた。
「すごいわね、この薬」
と、祐巳に礼を言おうと振り仰いだ志摩子に、祐巳が驚いたような顔をしているのが見えた。
「どうしたの?」
「うん・・・これね」
と、志摩子に祐巳が棒を見せる。
「この棒、道場の備品で、相当強いはずなんだけど・・・ほら、見て」
棒には、先端から真ん中あたりまでひびが入っていた。
祐巳が棒の両端を持って真ん中にひざを当てると、ぼきり、と簡単に折れた。
「志摩子さんの一撃を受け止めたらこうなった。ちゃんと衝撃は逃したはずなんだけどなぁ」
「それって?」
「ん?志摩子さんが馬鹿力、ってことかな〜」
「祐巳さん!」
祐巳と志摩子の訓練風景を見ていた山村教官は、
(福沢さんは別格だけど・・・藤堂志摩子さん、さすがに中等部主席だっただけのことはあるわ。
あの剣技の冴え・・・一年生のときの水野さんを彷彿とさせるわね。いや、それ以上の逸材かも・・・)
固定されていない状態の棒術用の武器を模擬剣で叩き折った志摩子の技に舌を巻いていた。
☆
薔薇の館、お昼過ぎ。
事務仕事のボランティアに来てくれた2年生6名は蓉子に仕事を頼まれていた。
「引越などでリリアンを休学することになった生徒にチェックを入れて。
それから、その生徒が所属していた小隊をピックアップ。
人員移動が可能な班と組み合わせを行って頂戴。
でも、必ず3年生を2人以上入れて、人員合計は8名を超えないように・・・」
事細かに指示を出すロサ・キネンシスの横で、備品の管理をしていた令と由乃から報告が入る。
「訓練で使用している武器の損傷がやはり激しいです。あと傷薬もです。
みんな、これまで以上に熱心に実技に取り組んでいる様子がわかりますね」
そこに祥子がビスケット扉を開けて、嬉しそうに入ってくる。
「お姉さま、ごきげんよう。さっそくですが、スクールバスの手配、3台目が確保できたそうです。
魔術騎士団のチームがそれぞれ護衛についてくださることになりました。
どうしても小隊を編成できなくなっている生徒たちは、こちらに回すことが可能です。」
祥子からの報告に、蓉子が安堵の表情を見せる。
「そう、それは助かるわ。あ、さっきの小隊の編成で、遠距離を中心に編成が困難だった小隊はスクールバスにまわして。」
と、ボランティアに声をかける。
「はい、ロサ・キネンシス」 とボランティアの生徒たちは頷くが、全員が疲れた顔をしている。
(はぁ〜、薔薇様方っていつもこんな大変な仕事をしているのかしら)
「そんなことないわよ。今が大変なだけ。これを乗り切るまで頑張りましょう」
ギクッ!! 6名全員が蓉子を見る。
「ロ・・・ロサ・キネンシス? い・・今・・」
「みんな疲れてる顔をしてるからわかっただけよ。祐巳ちゃん、少し休憩にしましょう。お茶を皆さんに入れてくれるかしら」
「はい」
「わたしも手伝うわ」
祐巳と志摩子が並んでお茶の準備に立つ。
「志摩子さんも薔薇の館に馴染んできたね〜」
「ええ、忙しいけど、ここ、心地いいわ。祐巳さんのおかげかしら」
「えへへ。ありがとう。志摩子さんのおかげで随分助かってるよ」
「あ、予備のカップは・・・」
「あ〜、こっちこっち」
あわただしくも仲良くお茶の準備をしている祐巳と志摩子。
(やはり、この子を手放すのはもったいないわね)
蓉子は次の作戦を考えていた。
☆★☆ 次回予告 ☆★☆
山百合会メンバーの誰かと魔物との激烈な戦闘シーンがあります。
次回からやっと本編らしくなります。 長かった・・・
(コメント)
レン >No.3257は5月14日に入るのでしょうか?それとも第2章?まだまだ楽しみです!(No.18983 2010-09-10 22:12:19)
ex >レンさま、いつもコメントありがとうございます。本編は第2章以降も続きます。5月14日には入りません。長くなります。まだまだ先になります。その時までよろしくお願いいたします。(No.18986 2010-09-11 06:42:06)
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