がちゃS・ぷち
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No.3317
作者:ex
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2010-10-10 18:02:23
萌えた:0
笑った:0
感動だ:87
『聖さま逃げられない時間が止まればいい』
「マホ☆ユミ」シリーズ 「祐巳と魔界のピラミッド」 (全43話)
第1部 (過去編) 「清子様はおかあさま?」
【No:3258】【No:3259】【No:3268】【No:3270】【No:3271】【No:3273】
第2部 (本編第1章)「リリアンの戦女神たち」
【No:3274】【No:3277】【No:3279】【No:3280】【No:3281】【No:3284】【No:3286】【No:3289】【No:3291】【No:3294】
第3部 (本編第2章)「フォーチュンの奇跡」
【No:3295】【No:3296】【No:3298】【No:3300】【No:3305】【No:3311】【No:3313】【No:3314】
第4部 (本編第3章)「生と死」
【No:3315】【No:これ】【No:3319】【No:3324】【No:3329】【No:3334】【No:3339】【No:3341】【No:3348】【No:3354】
【No:3358】【No:3360】【No:3367】【No:3378】【No:3379】【No:3382】【No:3387】【No:3388】【No:3392】
※ このシリーズは一部悲惨なシーンがあります。また伏線などがありますので出来れば第1部からご覧ください。
※ 4月10日(日)がリリアン女学園入学式の設定としています。
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〜9月30日(土) リリアン女学園 闘武場〜
祐巳、志摩子、由乃の3人は、リリアン女学園、体術の専門道場である闘武場にいた。
I公園で薔薇様たちを見送った後、その足でここに来たのだ。
「じゃ、柔軟運動ね。 それがすんだら、闘武場の4隅を瞬駆でダッシュ10周。 1周8秒以内だよ」
「OK。 1周8秒ね・・・。 ほんと、この前までだったら考えられないスピード」
由乃も簡単に頷くが、この闘武場は1周で200mあるのだ。
つまり、50mを2秒で駆け続ける事になる。
先日まで行っていた投擲球300発避けを達成した由乃は、瞬駆による直線のダッシュ、そしてスピードを生かした一撃必殺攻撃の訓練に入っていた。
「この瞬駆をものにしないと、全部の技が力足らずになるからね。 格闘家には必須のスキルだよ」
祐巳は由乃に声をかけ、自分も柔軟運動を行う。
その隣では志摩子が模擬剣を抜き、素振りを繰り返している。
「まず、柔軟からだよ! 足を180度開脚。 そのまま上体を床につけて〜。
はい、開脚したまま、その場で逆立ち〜。 腹筋に力を入れてバランス取らないと上がらないよ〜。
開脚倒立から、その場で3回転〜」
「ゆ・・・祐巳さん、これ、もう柔軟じゃないし・・・」
「文句言わないの! 次は立ったまま上体を後ろにそらして足首をつかむ〜」
「ぐ・・・ぐぇ・・・。 背骨が・・・背骨が折れるっ!」
「次は、その場で、後方宙返り。 5回連続したら1回ひねりを入れながらもう5回転〜」
「だ・・・だから・・・。 これ柔軟なの?」
「はい、無駄口禁止〜」
「ふーっ、ひーっ、はーっ・・・。 よ・・よし、OK、次っ、次ッ!!」
柔軟運動だけで息の上がった由乃だが、すぐに呼吸を整える。
十数分後、祐巳の言う”柔軟運動”? の終わった祐巳と由乃は、闘武場の対角線に立つ。
「じゃ、ダッシュいくよ。 志摩子さん、端っこで、回転切りを腰の高さでお願い。 由乃さん、志摩子さんの横を通るときは、腰より下にしゃがまないと首が飛ぶよ」
「・・・ぶっそうなこといわないでよ。 今日こそ祐巳さんに追いついて見せるんだから!」
「ふっふっふっ〜。 そんなに簡単につかまらないよ。 10周で捕まんなかったら、もう10周追加だからね」
「わかってるわよ! もう何百周してると思ってんの!」
(祐巳さん・・・。 聖様もスパルタだけど、祐巳さんも鬼だ・・・。 やっぱり、おばばさま仕込ね・・・)
志摩子はおばばさまの 『お仕置き』 がよほどのトラウマとなっているようだった。
☆
暗黒ピラミッド内の蓉子たちは、第2の魔王ゴモリーを撃破した後、第3の扉に近づいていた。
「いちおう、この第3扉の角部屋をクリアしたら、いったん地上に戻りましょう。
第一日目だし、それなりのデータも取れたから、ね。 無理をせず一歩一歩すすむのが上策だわ」
「さすがに短時間で魔王戦3連戦はきついね。 よし、最後だ、頑張ろう!」
「「「はい!」」」
聖の檄に全員で答える。
「私が扉に回転切りで切れ目を入れるから、江利子の弓で扉を破壊、いいわね」
「任せなさい!」
今回は、蓉子と江利子の合体攻撃で扉を破壊することにした。
やはり、祥子の魔力は温存しておきたいのだ。
「祥子、7呪文同時詠唱はやめて、矢印と灯りを消して5つにしたら何分持つ?」
「5呪文でしたら・・・。 10分は持つと思います。 余裕を見て、8分で魔王を倒せない場合は引くのがよいと思います」
「じゃ、5呪文に切り替え! 8分で決着! いくわよ!!」
☆
・・・・・・ ちょうどこの時、地上ではピラミッドの入口が南入口を残して完全に閉じた ・・・・・・
☆
「羅刹龍転斬り!刹那五月雨撃っ!」
蓉子と江利子、二人の薔薇の合体攻撃。
おそらく、リリアン史上でも最強の合体攻撃の一つが炸裂。
ズガガガァァァーーーン!! と派手な音を立てて扉が吹っ飛んだ。
そして、部屋の中に居たのは・・・・
「やはり居たわね・・・。 魔王・ベリアル!」
ほんの10日前、炎の剣一振りで騎士団9名を地獄に送り込んだ炎獄の覇者。 一人で50の軍団を率いる地獄の大いなる王。
ソロモン王の右腕といわれる最強の魔王、”バアル”=”ベルゼブブ” 、”アスタロト”と並ぶ三巨頭の一人。
薔薇十字所有者の覇気が、魔王・ベリアルを覆い尽くすように膨れ上がる。
「ブフダイン!」 「極寒・伍絶切羽!」
いきなりの祥子の極冷魔法。 そして冷気を纏った矢をベリアルの急所5箇所に放つ江利子。
炎獄の覇者・ベリアルには氷結属性攻撃が有効である、と薔薇十字所有者は読んでいた。
だが、ベリアルはその背の炎獄の翼で体を覆い、2人の遠隔攻撃を無に帰す。
そして、炎の剣を一閃。
とたんに巻き起こる業火の奔流。
パーティ9人が炎の波に飲み込まれようとした瞬間、
「ファイヤーウォール・トライアングル!!」
祥子の炎熱防御障壁が鋭角の角をベリアルに向けた楔を形づくる。
「さすが、祥子!」
まともな炎の障壁ではベリアルの炎を防ぎきれないとわかっていた祥子は、障壁を鋭角化することで炎獄の炎を回避したのだ。
「攻撃をさせるな! 江利子、撃ち続けて!」
「OK! 極寒・刹那五月雨撃っ!」
江利子の極寒の矢が、まるで雹のようにベリアルに殺到する。
「うぁぁーーーー!!! これでもか!! 極寒・刹那五月雨撃っ!」
『神をも射殺す』といわれる江利子の矢が息も切らせずベリアルに降り注ぐ。
(これが江利子の本気っ! さすがにすさまじい!)
「令っ! 聖っ! 今よ! Wスラッシュ!!」
「ハイ!」 「いくよっ!」
「一文字斬っ! スレイ・カトラス!」
蓉子でさえ動体視力のぎりぎりで見える恐ろしいまでのスピードでベリアルに突っ込んでいく令と聖。
近距離戦闘のスペシャリスト2人の合体攻撃!
しかし、江利子の極寒の矢を炎の翼で防ぎながら、左右の手で令の超長刀を弾き飛ばし、聖の体を根こそぎ入り口付近の扉の残骸にまで吹き飛ばすベリアル。
「グ・・・グハァ・・・! 背骨が・・・背骨がっ!」
床に転がった聖の体がありえない方向に曲がっている。
「聖ーーーー!!」
蓉子の悲鳴が響く。
一瞬動揺した蓉子に、ベリアルの炎の剣が迫る。
ベリアルの残酷な刃が蓉子を貫こうとしたとき、
グシャッ・・・。 嫌な音が響いた。
リザーブで控えていた騎士団員が、物反鏡を張った盾をかざして蓉子とベリアルの間に突っ込んだのだ。
ベリアルも、『テトラカーン』の呪文を纏った盾の前では、さすがに十数メートル吹き飛び、玉座付近まで後退した。
しかし・・・、蓉子を守った騎士団員はベリアルの突進をまともに受け、壁に叩きつけられ、無残に潰されていた。
「佐藤さん!!」
栄子先生が聖のもとに駆け寄り、『ソーマの雫』を口に含ませる。
「ウグッ・・・ウグッ・・・。 ハァハァ、ありがとう、栄子センセ。 こりゃきついわ・・・」
「背骨が折れてる! 動かないで!」
「そう言う訳にも・・・。 うぐっ!」
「だめっ! ドクターストップよ!」
「ザンダイン!」 「衝撃・刹那五月雨撃っ!」
極寒攻撃がベリアルにまったく利かないことで、遠距離攻撃担当の江利子と祥子は衝撃攻撃に切り替える。
ベリアルには、しかしその攻撃すら利かない。
しかし、ベリアルもさすがに衝撃波にさからってまで攻撃できないのか、防戦一方になっている。
「くっ、ここまでか・・・。 全員集合、逃げるわよ!」
「なんですって!?」
江利子が蓉子を怒鳴る。
「まだ時間はあるっ! こんなところで退けるかっていうの! 衝撃・刹那五月雨撃っ!」
「お姉さま!」
刀を弾き飛ばされ、丸腰の令も必死に姉に呼びかける。
「令も、もたもらすんじゃないわよ! 隙を見て『震脚』! 刀がなくても、あなたならいけるわ!」
「は・・・、はい!!」
「ザンダイン!」 「震脚っ! うぉぉーーーっ!衝撃手っ!!」
江利子の闘気に引きずられるように、祥子の衝撃魔法と、令の格闘術がベリアルの脇を穿つ。
令の格闘術、『震脚』は、地面を割り地響きがするくらい左の踵を踏み込み、腰を落としタメを作る。
震脚は足から腰に腕に力を伝える。スピードこそ瞬駆と同じだが、その破壊力は数倍勝る。
その破壊力をのせた掌底。 リリアン格闘術bPの聖の攻撃力さえ凌ぐといわれるその攻撃がベリアルのわき腹を抉り取った。
「蓉子っ! 今よっ!」
「わかってる! 煉獄撃・修羅虎突きっ!」
蓉子の迸る闘気を乗せた 『インヴィンシブル』 の一直線の突きが、ベリアルの腹を抉る。
「グワァァァーーーー!」
ベリアルの絶叫が響き渡る。
「ザンダイン!」 「衝撃手っ!!」 「伍絶切羽!」
薔薇十字所有者たちの必殺の一撃が魔王・ベリアルを飲み込んでゆく。
ついに、魔王・ベリアルの最後か・・・、と思われたとき、ベリアルは最後の力を振り絞って炎の剣を投げつけた。
剣は、4人の薔薇十字所有者のはるか頭上を越え飛んでいく。
「どこ狙ってんのよ!」
江利子が鼻で笑う。
「あぁぁーーーーーっ!」
不意に聖の悲鳴が・・・・
ベリアルの放った炎の剣は、聖と栄子先生を守護していた騎士団員2名を盾ごと吹き飛ばし、壁に叩きつけ・・・
聖を部屋の外まで押し出し、防御呪文を唱えながら両手を広げ聖を守っていた保科栄子を・・・・。
栄子先生の体は、炎の剣に串刺しにされ、立ったままその体を焼かれていた・・・。
「栄子センセーーー!!」
聖の悲鳴が響く。
背骨を砕かれ、這うことしか出来ない聖は、必死で匍匐前進をしながら部屋に近づこうとする。
しかし、次の瞬間、床に突き刺さった炎の剣を中心に、小部屋の床がガラガラと崩れ落ちる。
「キャーーーーー!!」
「助けてーーー!!」
「聖っーーーーー!!」
魔王・ベリアルの居た小部屋は・・・・・・
薔薇十字所有者、水野蓉子、鳥居江利子、小笠原祥子、支倉令、そして亡骸となった騎士団3名と栄子先生を乗せて、地下深く崩れ落ちていった・・・・・・・。
「蓉子ーーーー!!、 江利子ーーーー!!、祥子ーーーー!!、令ーーーーー!!」
聖のは、崩れ落ちた部屋の外から、必死に4人に呼びかける。
・・・しかし・・・その声に応える者は誰も居なかった。
あまりにも信じられない光景にショックを受けた聖は、ひどい背中の痛みに呻きながら意識を失った。
☆
カツーン、カツーン、と無機質な音が遠くで聞こえる。
(蓉子・・・・。 栄子センセ・・・・)
ぼんやりとした頭で、無機質な音を聞きながら聖は目覚めた。
(いててて・・・ひどくやられちゃったなぁ・・・。 蓉子たちは・・・。 そうだ! 蓉子!)
急にクリアになる思考。
聖は、なんとか頭を持ち上げる。
目の前には、絶望的な暗黒の穴・・・。
(ここに落ちたのか・・・。 無事なら 『妖精の翼』 でもどってこれるかなぁ。 でも万が一、大怪我・・・、いや最悪なことは考えまい・・・)
そして、聖は無機質な音を出しているものに目をやる。
それは、地上から送り込まれた探査ロボットだった。
探査ロボットのアームが聖の足をつついていたのだ。
(うわ・・・ロボットか・・・脅かすなよ。 あ、魔界の瘴気は・・・。 こんなところにいたら魔界の瘴気にやられるっ!)
しかし、聖は自分を包む純白の光に気付く。
(なんだ、これは?)
それは、純白の翼を羽ばたかせながら聖の周りを飛び回るおびただしい数の小さな妖精だった。
(これは・・・。シルフィード? 風の妖精シルフィードがわたしを瘴気から守ってくれたの?)
(そうか・・・。おばばさまが私を 『かぜ』 って言ったのはこのことか・・・。 そういえば私だけは瘴気から守られる、みたいなこと言ってたなぁ)
(わたしは、いったい何者なんだろう? 『かぜ』 ってなんだ?)
(しかし、ここで寝ててもどうにも出来ない・・・。 『妖精の翼』 ・・・。 あぁ、あった・・・。
蓉子・・・、江利子・・・、祥子・・・、令・・・。 無事でいて・・・。 必ず助けに戻るから・・・)
聖は、4人の無事を祈りながら、『妖精の翼』 を真ん中からポキリと折る。
瞬間、聖の体は、ピラミッド南入り口に設置された定点ポイントbPにワープした・・・。
☆
〜 9月30日(土) K病院 〜
聖が暗黒ピラミッド南入口に設置された定点ポイントにワープした姿を見た騎士団は、担架で聖を運び出し、その場で魔術医師による診断を行った。
背骨の骨折、体の各所に残る打撲、そして治療のあとのある腕の裂傷。
苦痛に呻く聖に全身麻酔を施し、K病院に運び込んだ。
聖から詳細な状況をすぐにでも聞き出したいところではあったが、あまりにも酷い状態にそれはすぐにあきらめられた。
また、聖のそばまで行き目覚めさせた探査ロボットの映像で、第3の部屋の床が抜けどこまで続くかわからない穴が開いていることも確認されていた。
聖は、全身麻酔で眠ったままK病院最上階の個室に入院し、ドアには 『絶対安静』 『面会謝絶』 のプレートが掲げられていた。
☆
夕方7時、K病院のロビーに息を切らして駆け込んでくる祐巳、志摩子、由乃の3人の姿があった。
3人はリリアンの闘技場で汗をかいた後、由乃の家でシャワーを浴び、薔薇十字所有者たちの帰りを待っていた。
しかし、そこに騎士団から掛かってきた電話。
それは、あまりにも残酷な内容だった。
生還したのは佐藤聖ただ一人のみ。 それも背骨を砕かれ現在病院に入院中。
残りの8名の生死は不明、というものだったのだ。
聖の入院先を聞いた3人は、その電話を聞いた瞬間に家を飛び出し、K病院まで駆けて来たのだ。
3人は病院の受付で聖の部屋を確認する。 それは5月に祐巳が入院していた部屋と同室だった。
「由乃さん、志摩子さん、いこう!」
3人は祐巳を先頭にK病院の最上階個室に駆け上がる。
個室の外には、騎士団の幹部、佐藤聖の両親、小笠原清子たちの姿があった。
「聖様! 聖様を助けに来ました! 部屋に・・・部屋に入れてください!!」
祐巳は、病院の廊下を走りながら、必死に叫んだ。
「祐巳ちゃん!」
清子が祐巳の姿を見、希望をこめた顔で見る。
「待っていたわ、祐巳ちゃん。 聖さんを救ってくれるわね?」
「はい、部屋に入れてください!」
祐巳はすぐにでも病室に入ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください! こんな女の子が聖を治すというのですか!?」
驚いた顔で清子に詰め寄る聖の両親。
「そうです。 この子達だけが希望なのです。 大丈夫。 私が責任を負います。
・・・ 佐藤さん、ご紹介します。 福沢祐巳と藤堂志摩子さんです。 わたしの足を治したのはこの子達なんですよ」
「なんですって!? こんな子が・・・まさか?」
「ええ、わたしも手術に立ち会います。 祐巳ちゃん、今日は私もサポートするわ。 しっかりお願いね!」
「ありがとうございます、おかあさま。 手術室に移すのですか?」
「そのほうがいいわ。 無菌室もあるし、あなたたちもそこで殺菌した手術服に着替えなさい」
「わかりました。 志摩子さん、手術室に行こう! 由乃さん、ちょっと待っててね」
「うん、祐巳さん、志摩子さん、しっかりね!」
祐巳、志摩子、清子の3人が看護士に先導され足早に手術室に向かう。
聖を乗せた運搬用のベッドに聖の両親がついていく。
これから、祐巳と志摩子による聖の手術が始まるのだ。
☆
最初に、祐巳から術式の手順説明が行われる。
「では、最初に聖様をうつ伏せにします。 背中を出していただいた後、志摩子さんの 『理力の剣』 で背中を切開します。
動脈を切る可能性もありますが、心配ありません。 すぐに魔法で止血できます。
おかあさまは止血剤をお願いします。
その後、 『癒しの光』 の力で背骨の修復を行い、同時に傷ついた血管、内臓などを生成していきます。
おかあさまは、わたしに魔力を分けてください。 より早く手術が終わると思います」
「そう・・・、わたしのときもこうして治したのね?」
「はい。 では、志摩子さん。 『理力の剣』 を聖様の背骨に沿って真っ直ぐに当てて。
私が『今』 って言ったら、背中を切開、いくよ!」
「OK, いつでもいいわ」
「では、いきます。 ・・・・・・『癒しの光っ!』」
祐巳の『フォーチュン』にはめ込まれた宝石が純白の光を放つ。
祐巳と志摩子、そして清子の3人による聖の手術が始まった。
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