がちゃS・ぷち

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No.3858
作者:奏葵
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2016-06-25 23:45:23
萌えた:16
笑った:1
感動だ:4

『ただ一緒にいたいだけ』

マリア様がみてるif
  太陽と聖女


【No:3853】【No:3854】【No:3856】【No:3857】の続きです。


連休明けの月曜日、やる気はあまりないが体の調子は最近では良いほうだ。
学校に行く準備をしていると階下で令ちゃんの呼ぶ声が聞こえた。

「由乃、準備できた?」

「うん、すぐ行く!」

こうして今日も一緒に登校する。


私は生まれつき心臓に持病を抱えている。
その為、従姉妹の令ちゃんが朝練など余程の用事がない限り一緒に登校している。
令ちゃん自身騎士のつもりなのだろうか、かなりの過保護ぶりを発揮している。
由乃は私が守るよ、とでも言いたげだ。

正直学校は億劫だ。
別に嫌いなわけじゃないが周囲とは壁を作っているし、向こうも腫物扱いしてくる。
腫物扱いされるのはしょうがないと割り切っている。実際私が健康でそういう娘が居たらどうしてもそういう扱いになっているだろうから。

唯一クラスメイトで違うのは志摩子さんか・・・。
まあ違うといっても彼女は私同様周りに壁を作っている。
正直苦手な人だ。
同族嫌悪と言ってもいいだろう。


そうこうしているうちに学校が見えてきた。
令ちゃんと中等部の校門で別れる。
別れ際に何か言ってた気がするがいつもの事なので聞き流していた。
マリア像にお祈りをしてから、下駄箱で履き替えクラスに向かう。
クラスに着きクラスメイトに挨拶をし、鞄を置く。
まわりから話しかけられることはあまりないので持ってきた小説に目を落とす。

幾許か時間が経過しただろうか。
時計を見ると始まる10分前ぐらいであった。
少し外の空気を吸おうかな、と思い立ち上がる。
背筋をグーと伸ばしてから廊下へと向かった。

廊下に出たところで教室に向かってきている志摩子さんの存在に気づいた。
手には本があることから図書館にでも行っていたのだろう。
その志摩子さんの背後から早歩き気味にこちらに来ている人影を見つけた。
あのまま行くと志摩子さんにぶつかるような気もしないが・・・。
と、思っていると実際志摩子さんに向かっていた。

次の瞬間

「し〜まこさん!!」

「きゃっ」

なんと志摩子さんに後ろから抱き付いたのだ。
私が驚いている中、いや見ているクラスメイト全員が驚いていると

「ごきげんよ〜」

「ごきげんよう、もう祐巳さん危ないわ」

そう窘めているが志摩子さんの顔は笑顔だ。全然怒っているようには見えない。むしろ嬉しそうだ。

「えへへ、志摩子さん見つけたから嬉しくなっちゃって、ついね」

「ふふ、もう祐巳さんたら」

そんな感じで楽しそうにおしゃべりを始める2人。

確か相手の娘は見覚えがある。
名前は福沢祐巳さんだったかしら。
幼稚舎以来一緒のクラスになっていないが微かに記憶はある。
その祐巳さんとあの志摩子さんが仲良くなっている。
好奇心がそそられるのを感じた。
普段は猫を被っているが好奇心旺盛だ。
あの鉄の女もとい志摩子さんの笑顔を引き出した人物。
福沢祐巳さんか・・・。
機会があれば私も話をしてみたいと思う。
それと同時にこんなにも他人に興味を惹かれるのは初めてね、
と由乃自身も驚いていた。



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朝、学校に登校した後図書館に寄りクラスに戻る直前になんと祐巳さんが後ろから抱き付いてきたのだ。
最初はびっくりしたが今まで仲のいい友人とじゃれあうといった経験が無かったので嬉しかった。
祐巳さんと別れクラスに入った時のクラスメイトの鳩が豆鉄砲を食ったような顔は多分なかなか忘れられないぐらい印象的だった。

その後は穏やかに午前中の授業が進んでいった。

お昼になりこの間約束していたので祐巳さんのクラスへと向かう。

基本的に自分が所属しているクラスには入ったことがないので心の中ではドキドキしながら祐巳さんのクラスに一歩を踏み出した時、

「あ、志摩子さんこっちこっち!!」

クラスに入ったところで祐巳さんが気づき手招きしてくる。
いつも一緒食べているという2人も待ってくれていたみたい。
合流した後軽く自己紹介を済ませた。

1人は蔦子さんと言いカメラが趣味なようでよく撮っているらしい。
早速お近づきにと、一枚撮られてしまった。

「志摩子さんは祐巳さん同様なんだか被写体としては一流ね、燃えるわ」

なんてことを言われてしまった。
祐巳さん曰く盗撮してくるから気を付けてね、とのこと。

もう1人は桂さんといって・・・。
まあ、うん、何というか普通な人だ。

その後昼食会が始まった。
祐巳さん以外の2人は私のお弁当を見てイメージと違うなど言っていた。
和気藹々と進み予鈴が鳴ったところでお開きとなった。
余談ではあるが最後にこれからも一緒に食べようね、と祐巳さんに誘われた時は一も二もなく快諾した。

HRが終了し放課後なり部活のない人たちは帰宅の途につき始めた。

そんな時、祐巳さんがやってきて、

「志摩子さん、一緒にお御堂に行かない?」と聞いてきたのだ。

以前は懺悔のつもりでお御堂に行っていたが今は祐巳さんと一緒に居たいといった気持ちのほうが強いのでやはり快諾した。



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放課後になりいつも通りお御堂に行こうと思ったところで閃いた。

「そうだ、志摩子さんを誘ってみよう」

聖さまは恐らく白薔薇さまに連行されるだろうからおしゃべりの相手がいない。
そんな時お御堂というキーワードに最も合致する人物を閃いたのだ。
それにもっと志摩子さんと仲良くなりたいなと思うのも事実だ。

早速志摩子のクラスへと赴き、志摩子を探そうとしたとき丁度クラスから出てきたのだ。
あちらもこちらに気づき向かってくる。

「志摩子さん、一緒にお御堂行かない?」

と聞くと

「ええ、いいわよ」

即答が返ってきた。
やっぱり志摩子さんはお御堂が好きなんだな〜、
と見当違いのことを考えている祐巳であった。

お御堂に着き2人で軽めのお祈りを済ませるとおしゃべりを開始した。
少しすると栞がやってきた。

「ごきげんよう」

「「ごきげんよう」」

「自己紹介するのは初めてよね久保栞です」

「藤堂志摩子です。よろしくお願いします」

「ええ、こちらこそよろしくね志摩子さん」

自己紹介を済ませた後、栞は

「それじゃあ少し待っててね」

と言い残しいつものお祈りを開始した。

栞の登場で間ができ、気になって入り口の見る

「どうかしたの?祐巳さん」

「今日は聖さまこないな〜」

「聖さま?」

「うん、一応白薔薇の蕾」

「白薔薇の蕾?でも一応?」

「うん。外見は綺麗なんだけど中身がね・・・」

「中身が?」

「セクハラおやじ」

「セクハラおやじ!?」

「うん。よく抱き付いてくるんだ〜。後ろから」

「あら、じゃあ今朝の祐巳さんみたいね。ふふふ」

「え!?ホントだ。うわぁぁぁ・・・。ショック」

志摩子の一言に本気で頭を抱えて項垂れる祐巳。
これにはに志摩子も慌て、

「ゆ、祐巳さんは愛情表現よね!?だからセクハラじゃないわ。気にしないで」

「本当?」

「本当よ」

「じゃあまた抱き付いていい?」

「ええ、いいわ」

「わ〜い♪志摩子さん大好き」

と言いつつ早速ごろにゃ〜んと甘えるように抱き付く祐巳であった。

「もう、祐巳さんたら」

なんだかんだで嬉しそうな志摩子。

この一か月弱で聖の気質が祐巳に移りつつある。抱き付き魔なところだけ。
リリアンの将来は大丈夫だろうか?

それはさておきお祈りが終わった栞が合流した。

「あら、仲いいわね2人とも」

「あ、栞ちゃんお帰り〜」

「あ、これは、その・・・」

しどろもどろになりながらも嬉しそうな志摩子であった。


そんな祐巳と志摩子を優しく見守る栞。


いろいろな人の運命が交錯しようとしていた。



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[あとがき]
今回は同級生3人の視点で。
祐×志の傾向が強くなってきました。(もともと好物なので。もちろん志×祐も好きですよ)
そろそろ聖と栞を書ければいいな〜と思っています。


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